前回、東芝エコキュート「エスティア」を紹介したが、今回はもう少し詳しく機能をみていきたい。エコキュートをとりつける一番大きな目的は省エネ。だけど、ケチケチしたセコイ省エネは私個人としてはあまり好きではない。もちろん、エネルギーは大切に使いたい。だから、シャワーを浴びているときに、ムダにお湯を使い過ぎているような気がしてちょっとだけ罪悪感があるのも事実だ。使いすぎか、この程度なら普通といえるのか、自分の使い方を客観的に評価したい。そんな願いも、エスティアはかなえてくれる。

注目したいのは「給湯量ナビ」という機能。これは一人ひとりの入浴中のお湯使用量がリモコンの液晶表示に数字で出てくるというものだ。シャワーを1分間使用すると、だいたい10~15リットルのお湯を使用することになるという。身体を洗ったときに流す時間はおおむね5分程度。と考えると、一回の入浴に50~60リットルくらいのお湯の使用量なら平均的。ムダ使いしているとはいえないレベルだといえる。シャワーを出しっぱなしにすると、給湯量ナビの表示は「10L」→「20L」→「30L」と変わっていく。自分で「50L」までOKと基準を設けておけば、その値までは罪悪感なしでシャワーが使える。

東芝エコキュート エスティア「フルオートタイプ」。家の外観にフィットするように、貯湯タンクユニットのコーナー部にRをつけた「ラウンドスタイル」が採用されている

しかもうれしいことに、お風呂用のリモコンは湯気の中でもよく見える液晶を利用している。ブラックベースに白文字表示で、すこし斜めからの角度でもよく見えるものを搭載している。リモコンは浴室用、キッチン用のほか、2階の部屋などに設置できる「シンプルリモコン」の全部で3種類が用意されている。必要に応じて組み合わせてオーダーするようになっている。

お風呂場でも視認性が高い浴室用リモコン

もうずいぶん前のことだが、年配の知り合いが親戚の子どもを下宿生として受け入れた話を耳にしたことがある。その知り合いは子どもがいなかったし、昔の人なので朝からシャワーで髪を洗うなんて信じられないといった具合で、しかも、ずっとお湯を出して体を流すことに抵抗がある人だった。当の下宿生にしてみれば、自分の入浴の仕方は別段変ったものではないのに、なぜ文句を言われるか理解できなかっただろう。そのときに、給湯量ナビがあったら、どれだけ円満にことが進んだかと思う。家庭によっては、入浴の時に子どもがシャワーを出しっぱなしにしていることを注意して、小さなケンカになったという経験がおありかもしれない。そんなとき、客観的なデータを出してくれる給湯量ナビがあれば、家族円満になるかもしれない。

エコキュートの恩恵を受けるには?

エコキュートは光熱費節約になるといっても、問題は買うのに相応のお金がかかることだ。貯湯タンクが370リットルタイプでシステムセット価格は743,400円。460リットルで822,150円だ。実勢の価格はここから2~3割引いたものになるが、安いとはいえない。システムセット価格のほかにかかる費用は設置のための工事費だ。いまのところ政府の補助金がつくのだが、それでも初期費用は相応にかかる。そのため、あまり光熱費が高くない家がもとをとるには相当の月日が必要だ。どちらかというと、オール電化にして電気をたくさん利用する家がもとをとりやすく、エコキュートの恩恵をたくさん受けられるといえる。

「メインリモコン」と簡易型の「シンプルリモコン」

設置場所は制限あり

エコキュートを導入するうえでのもう一つの問題は設置場所。どこでも無条件に設置できるわけではない。たとえば、マンションのベランダに置くときは、非常用の壁を遮らないようにしなければならないといった制約が出てくる。それと、水まわりの工事が必要になるので、マンションだと設置できないことはないが、さまざまな条件が出てくる。

「給湯量ナビ」。液晶右側に使用した水量が表示される

また、あなたの家が一戸建て三階住宅になっていて、お風呂が三階にあるとしたら、あまりおススメできない。エコキュートの多くは湯圧が低くて、三階だと十分にお湯が出ないという欠点がある。この欠点をカバーしている機種もあるが、いずれにしても、水まわりの工事が必要になるので、取り付け前には一度販売店に相談してみるといい。

浴室リモコンでは、「あつく」ボタンで追いだきを開始(左)。「ぬるく」ボタンや、メインリモコンと通話ができる「おはなし」ボタンも用意される

話をまとめると、エコキュートが向いている家は、設置に困らない一戸建てが望ましく、しかも二階建て。三階建てなら、風呂場は二階か一階にあることが必要だ。さらには、初期費用のもとがとれるくらい、電気のヘビーユーザーな家が望ましい。

東芝キヤリア ヒートポンプ電化事業推進部 商品企画担当 グループ長 村上則行さんによると、エコキュートはここのところ、急成長しているという。だからこそ、同社では「お客様に近い場所で、声に耳を傾けて、しっかりとサポート体制を整えていきたい」。エコキュートはまだ黎明期で、これから価格や性能などでもっとよくなっていく余地がある。それでも、CO2削減では効果があるので、オール電化を検討しているのなら、エコキュートも検討事項に入れるといいのではないだろうか。

イラスト:YO-CO