ついに我が家にやってきた。「何が?」って食器洗い乾燥機が、である。1年以上も前のこと。食器洗い乾燥機を1週間ばかり、試しに使わせてもらったことがある。使い勝手もいいし、汚いまま積みあがった食器の山がラクラク片付くことを思うと、こんな素晴らしい家電製品はない。早速買おう!と私は決心したのだ。

結果から言うと、結局私は食器洗い乾燥機を買うことはできなかった。なぜなら「ちょっと待った」が入ってしまったのだ。要するに、家族のうちの1名(要するに夫)が「食器洗い乾燥機は邪魔だ」と言い出したのである。私が買おうと思っていた食器洗い乾燥機は、シンクの横に置けるコンパクトタイプ。ただ、言われてみれば前面がわずかだがシンクの方にはみ出しているし、壁にある電気や給湯器のスイッチの邪魔になる。しかし、調理をするのに支障はまったくない。しかも、夫が調理をするのは週末のみ、さらに言わせてもらえば1週間に1度程度。だから、普段キッチンを使っている私に決定権があると思うのだ。お金を出すのは私なのだし……。しかし、言い争うのは面倒。結局、引き下がることにした。とはいえ、釈然としない気持ちはいつまでも心に残っていた。

話は変わるが、汐留にナショナルのショウルームがある。以前、このコラムでお伝えしたジョーバやマッサージ機、スイミンルームなどを体験できるようになっており、ぐうたら主婦はときどき足を運んでいる。階段を下りると、そこはキッチンなど水まわりのシステム商品が展示されている。先日、訪れたぐうたら主婦が目にしたのは、ビルトインの食器洗い乾燥機。シンクの下の一部にはめ込むタイプのもので、調理スペースを狭くすることもない。これならば文句を言われる筋はないはずだと、私は膝を叩いた。

しかし、我が家のシステムキッチンは松下電工製ではないことを思い出した。他社製品だと組み込めないのではないかと心配になったのだ。しかし、一定の幅と奥行きがあれば、設置可能だとスタッフは言う。ということで、ぐうたら主婦はビルトインタイプの食器洗い乾燥機を買うことにしたのだ。

引き出しのような形が使いやすさの秘密

食器洗い乾燥機といえばカゴがあって、そのカゴ自体が引き出されるタイプを良く目にする。ところが、こちらは引き出しのような形状をしていて、食器洗い乾燥機そのものが出てくる。使いにくそうな印象を持たれる方もいるかもしれないが心配は要らない。使い勝手は上々だ。食器を上から入れるので、先に入れたものが邪魔になることもない。

食器洗い乾燥機に食器を入れるのは、"パズル"のようなものだ。大皿、小皿、コップなど、大きさを考えながら配置していかないと、最後に"大物"が残って収まらなくなることもある。また、小皿を入れるよりも先に上段の棚にコップを入れてしまうと、小皿を入れるためコップを再度取り出さなければならない事態が生じることもある。でも、この食器洗い乾燥機であれば、上段の棚が左右に分割されているため、上段左側にコップを置いても、上段右側の棚だけを持ち上げることができ、コップをどかさなくても下段に小皿を入れることが可能となる。

ナショナル ビルトイン食器洗い乾燥機NP-P45MD1S。システムキッチンの引き出しをはずして設置。サイズが合えばシンクの真下を使うことも可能

深さは約33cm。直径30cmの大皿や長さ30cmのお玉は横に寝かさなくても縦に入る。また、ビルトインだけあって食器を入れるスペースは広い。大皿、中皿、茶碗、汁碗、グラス、湯のみが各6点、そして小皿が9点の計45点(6人分)が一度に入るように設計されている。ぐうたら家の夕食は娘と2人のことが多い。だから、食器洗い乾燥機にはまだゆとりがある。食器を入れ終わった後、残ったスペースにはフライパンや鍋、まな板などを「これでもか」と詰め込んでも大丈夫。調理器具も一度に洗い終わるのがうれしい。

引き出しに、食器を差していくような感覚で使う。前面のパネルはブラックもあり。別売でナショナルシステムキッチンと同じ色を選ぶことも可能

なぜなら私は食器洗いよりも、調理器洗いが苦手なのだ。特に、べっとりとカレールーがこびりついた鍋を洗うのは、スポンジと指が油っぽくなってしまうから嫌だった。今までは、数日間シンクに放置することもしばしば。水道蛇口の下に鍋を置くと、ほかの食器をすすぐ水が鍋に入り、そうこうしているうちにルーが落ちていく。2日くらい放置して、臭くなる直前でカレー鍋を洗うようにしていた。てんぷら鍋も同様だ。「固めるテンプル」が付いた状態の鍋を見ると、どうしてあれほどまでに洗う気が失せるのだろう。しかし、NP-P45MD1Sは上カゴを外せば大きな調理器具も収納できる。

使い方は、洗剤を入れたら電源を入れ、スタートボタンを押すだけ。クリームやドレッシングなどの汚れは文句のつけようがないくらい、きれいに落ちる。カップについたコーヒーの茶色い跡は漂白剤を使った場合に比べると劣るものの、十分きれいに落ち、ピカピカになる。さらに"ピカピカ"にするには、食器が洗浄用の噴射水に当たるように汚れた面を内側にするか、斜めに置くと良いようだ。

きれいに汚れが落ちるのは、「ミスト」が関係しているという。この機能については次回ゆっくりと紹介させていただくが、今回、特に読者の方にお伝えしたいのは、音が静かなことである。食器洗い乾燥機の近くに立って会話をしても、気にならないくらいだ。奥さまが仕事をしていて、食器洗いが夜遅くになってしまう家庭でも、近所迷惑を気にすることなく使えるレベルだと言っていい。それほど、ぐうたら主婦は大満足なのであった。