消費増税による、急速な"なんちゃってインフレ"に打ち勝つには、戦略的にお金を使っていくほかありません。やりくり上手、貯蓄上手な人にはいくつかの特徴があるのをご存知ですか? これからの時代を生き抜くために取り組みたいお金の習慣をご紹介します。
(1)節約をがんばらない
お金を貯めるのがうまい人にどんな節約をしているのかを聞くと、「特に何もしていない」という答えが圧倒的に多いです。逆に「こまめに電気を消しています」とか「風呂の残り湯で洗濯しています」と答える人にかぎって、お金がない、貯まらない、と口癖のように言っている。こんなに頑張っているのに結果が出ないと、不満たらたらです。節約はやりくりの王道のはずなのに、おかしいですよね。
しかしよくよく話を聞くと、貯蓄上手は楽しみながら、お金のかかりにくい生活をしていることがわかりました。無意識のうちに節約につながる暮らしをしていたのです。
家ごはんが好き=外食しない=栄養バランスがよくなる=健康=食費と医療費の節約
お風呂は家族みんなで入る=水道光熱費の節約
休みの日は弁当持参でピクニック=レジャー費の節約
節約を頑張りすぎるとストレスになります。ストレスを上回るくらい明確な目標・目的があればやっていけますが、なんとなく「効果があると聞いたから」程度でやっていると、衝動買いなどの反動が出てしまい、無駄遣いにつながります。
ストレスにつながりそうな節約術なら、やらないこと! あなたが楽しんでやれるものだけを生活に組み入れてください。また、貯蓄上手、やりくり上手は好き嫌いがはっきりしています。自分にとって価値のないものには部屋に入れず、気に入ったものだけに囲まれて暮らしています。そうするとストレスは貯まりにくいし、大事に長く使うので買物の失敗も少なくなります。
(2)先取り貯蓄をして、そのことを忘れる
将来のための貯蓄は「先取り貯蓄」するのが鉄則です。そして、先取り貯蓄したことは、記憶から消してしまいます。給料が減ったと思って、暮らすのです。
「会社で財形貯蓄をやっています」
「会社の持ち株会に入っています」
「投資信託の自動積立をやっています」
「給与振込のある銀行で自動積立定期預金をやっています」
「毎月給料日に決まった額をMRFに移して、それを軍資金に投資しています」
大半の貯蓄上手の人は上のいずれかの方法で貯めています。あればあるだけ使いたくなる、それがお金です。余ったら貯金すると言っていてはいつまで経っても貯まりませんよ。
(3)財布の中にクレジットカードを入れない
ポイントが付くという理由で、買物のほとんどをクレジットカードで支払う人がいます。使った分だけきっちり家計簿を付けているのならよいのですが、家計簿ナシでカードを利用するのは浪費を助長する大きな要因になります。クレジットカードと現金では、カード利用者のほうが平均23%も支出が増えるという研究結果もあるくらいです(デビッド・クルーガー著「お金のシークレット」)。
やりくり上手になりたいと思ったら、お財布の中にクレジットカードを入れないこと! 普段の支払いにカードは使わず、インターネットショッピングや大きな買い物をするときだけ利用するなど、"マイルール"を作っておきましょう。
(4)あといくら使えるか、を意識する
あといくら使えるかを意識すると自然とお金の使い方が上手くなります。限られた予算のなかでいかに自分を満たすかを考えるようになるからです。
私がオススメするのは、袋分けです。現金で支払うものに関しては「食費5万円、おこづかい3万円……」のように、目的ごとに予算を立てて、袋に分けておきましょう。こうすると、「どれくらい残しておいたほうがいいか」「今日はいくら使えるか」がわかりやすくなり、やりくりが格段に上達します。
分け方に決まりはありません。給料日に1カ月間に使えるお金を引き出して、必ず払わなければいけないお金から振り分けていきましょう。
(5)自分を信じる
誰もが貯蓄0円からのスタートです。出発点は同じなのに、5年後、10年後と経過するにつれて貯蓄額に違いが生じる。この差は「信じる力」にあると、私は考えます。
貯蓄上手は「お金を貯めて、自由に生きている自分の姿」を強くイメージし、そうなることを疑いません。根拠がなくても自分を信じられるかどうか。貯蓄とやりくりの成功を左右する大きな要素です
執筆者プロフィール : 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)
財布にやさしく、家計に役立つ知恵を発信するファイナンシャル・プランナー(CFP(R)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/株式会社家計アイデア工房 代表取締役)。毎日感謝をモットーに、お客様のわくわく生活を全力でサポートしている。得意技は社会資源と各種シミュレーションを駆使したアドバイス。著書には『人生の引継ぎを考える方にアドバイスしたい70のこと(きんざい)』、『書き込み式 老後のお金の『どうしよう?』が解決できる本(講談社)』などがある。
「家計アイデア工房ウェブサイト」
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