今年はいよいよUSB Type-Cが本格的に普及する年になりそうなので、常用しているデバイスの充電環境に少し手を入れようとしているのだが、これがまた、なかなか一筋縄ではいかない。

USB Type-C搭載機器は急増している

意外と厄介なケーブル事情

まず、ケーブルをUSB Type-Cが両端にあるものに移行しようとしている。片方がUSB Type-A、もう片方がmicroUSBのものは、今や100均でも簡単に買えるし、ケーブルの種類、素材もいろいろでバリエーションは多い。だが、これを変換アダプタなどでUSB Type-Cにすると、充電規格などの違いでトラブルを起こしてしまう可能性がある。現時点では、さまざまな充電規格が混在し、どの充電器に、どのケーブルを使って、どの機器に充電するかで、急速充電などの機能をフルに活かせるかどうかがよくわからない。

急速充電は、電流を増やして急速に充電するのか、電流はそのままに電圧をあげるのか、そのどちらかの方式をとることが多いが、充電器と機器の間でのネゴシエーションがうまく行われないことには想定した方式での充電が行われない。ここがもっともややこしい。

USB標準規格のPD充電(Power Derivery。USBの電源供給規格)、USB Type-C標準充電、USB Type-Cケーブル経由のUSB 3.x充電、USBバッテリチャージングなどなど規格がありすぎる。さらには、Qualcommのクイックチャージを筆頭に、各社いろいろな名称で充電規格を策定している。そのどれにどのような互換性があるのかがよくわからないし、ケーブルについても、どの規格に使えるのかが明記されていない。

インフラの整備は進む

その一方で、公共のスペースのいろいろなところにUSB標準端子が充電ポートとして装備されるようになり、このインフラが定着するのは間違いなく、この先5年くらいはそのまま使われ続けるだろう。飛行機では当たり前に見かけるようになったが、今や、カジノのスロットマシンにさえ装備されている時代だ。ということは、今、もっともつぶしがきくのは、片側がUSB Type-Aオスで、もう片側がUSB Type-C、またはlightningのケーブルだが、どうにも不安がある。

ただ、少なくとも両端がUSB Type-Cのケーブルは、多電流、高電圧に対応している可能性が高い。なにしろUSB PDでは、最高5A20V、100ワットの充電に耐えられなければならない。GoogleもUSB Type-C機器は、独自規格を使わずに、USB PD規格で急速充電するように強く推奨している。だから極端に長いものもなければ細いものもない。

充電している方式がわかる機能を

しばらくの間はUSB Type-Cが両端のケーブルを、アダプタを使ってつじつまあわせするという方法で乗り切るしかないと感じている。microUSB普及のときにも多くの混乱があったが、このあたりが何とかなればと思う。

充電できるできない以前の問題として、バッテリトラブルによる事故や火災、ケーブルや端子のトラブルによるアクシデントがあるくらいなら、最初から充電ができないほうがずっといい。ディスプレイを持つ機器側では、現在、どのような方式で充電が行われているのか、異常はないのかどうかをきちんと表示する機能を必須としてほしいものだ。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)