Wi-Fiの規格策定団体であるWi-Fi AllianceがWi-Fiテクノロジーの最新情報を説明するための記者会見を開催、来日した同アライアンスのマーケティング担当 ヴァイス・プレジデントであるケリー・デイヴィス フェルナー氏が現況を解説した。

Wi-Fi Allianceのマーケティング担当 ヴァイス・プレジデントであるケリー・デイヴィス フェルナー(Kelly Davis-Felner)氏

Wi-Fi Allianceは、Wi-Fiについてシームレスな接続性を目指すために設立された団体で、すでに2万以上の認定デバイスを擁している。われわれが日常的に使っているWi-Fi機器はPCはもちろんスマートフォンやルータ、家電機器にいたるまで、いわゆる無線LAN対応のものは、そのほとんどすべてが認定機器だ。世界でもっとも成功している技術のひとつとして、設置ベースは40億を超えているという。

それが2018年には100億になり、さらに、いわゆるWi-Fiホットスポットは1,000万箇所に増加する。この数字は、世界の人口あたりひとり1台を超える状態だ。

100億にもなれば、世界の人口で割ってもひとり1台を超える

最新技術の「Wi-Fi Direct」は、2010年に導入された認定プログラムで、Wi-Fiデバイス間でピア・ツー・ピアの通信を行うものだが、現時点でも多くのデバイスが対応している。最近になってさまざまな機能拡張が行われ、サービスの発見とデバイスの設定が容易になったほか、ユーザー体験の強化が行われている。これによって、データの共有や閲覧、そして印刷やDLNA再生などが、より簡単なものになってきているという。

一方、IoTのムーブメントについても決して見逃すことはできない大きな出来事であるとし、今後のデータトラフィックが急増すると予想する。接続デバイスもさらに増加し、2017年には現在の20倍のデータトラフィックを生み出すだろうということだ。

IoTによって、データトラフィックが急増する可能性がある

その状況の中で、Wi-Fiの役割もあがっていき、プリセッションサービスディスカバリーとして、接続前に利用可能なサービスの発見などを実現する「802.11ah」規格などが今後のテクノロジーとして用意され、2016年以降の規格策定に向かっているそうだ。

その一方で、Qualcommが推奨しているような「LTE Unlicenced」といった動きもある。これは、Wi-Fiを使うテクノロジーではあるものの、そこにLTEの技術を使って安定した通信を行えるようにしたものだ。標準的なWi-Fi通信ではない技術が、こうして登場し、使われていくことについての見解を求めたところ、

「アライアンスとしては何も申し上げられない。初期段階だから、既存の5GHz帯の通信とどう共存していくのか綿密に検討していく。この周波数帯をどう使うかについてユーザーにベストの体験を提供していきたい」

とした。

こうした動きがでてきたのは、増えすぎたWi-Fiデバイスや、機器が設置されたパブリックスペースの増加によるものだ。同アライアンスがいうように、仮に、IoTによって、その数がまだ増えるということであれば、パブリックな空間におけるWi-Fiは今のままでいいのかという疑問もわいてくる。見えているのにつながらないという現象に頻繁に遭遇してしまう現状があるからだ。電波が有限の資源である限り、何らかの方法論で、その問題を解決しなければならない。

Wi-Fiはつながってしまえば実に便利なテクノロジーだが、つながらなければ話にならない。同アライアンスでも、こうした状況は認識はしているとのことで、今後、デバイスは増えていくが、それを考慮して、トラブルを軽減するために、デュアルバンドネットワークによる高速化をさらに推進するのに加え、業界においてのイノベーションとして、より多くのユーザーを収容できる802.11axや1GHz以下におけるローパワーの電波資源の活用などを挙げた。またPasspointテクノロジーをうまく使うことで、IoT機器に自動的にコネクション先が提供されるといった周辺のデバイスのディスカバリーを目的としたプロトコルでこれらの問題を解決していきたいとしている。

前身のアライアンスから通算すると今年で15年、新たな時代を迎えるWi-Fi Alliance

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)