アプリで激変する可能性を秘める

iPhone 8シリーズは前述の通り、成熟したスマートフォン自体の機能を評価するポイントは限られている。しかし無限の可能性を拡げる要素として、A11 Bionicが存在している。

処理性能と省電力性に加え、グラフィックス性能、機械学習処理の性能などを強化した新しいプロセッサは、iPhone 8シリーズとiPhone Xの最大の武器になる。

アップルはプライバシーの問題から、中央集権的な人工知能ではなく、各自のスマートフォンの中で処理を行う分散型、オンデバイスの機械学習処理を推進しており、A11 Bionicもその前提で設計されている。

iOS 11からはCore MLといわれる機械学習フレームワークが利用できるようになり、普段我々が使っているアプリにも、機械学習処理の恩恵がもたらされるようになることが予測できる。

日常で利用できる機械学習処理を用いたアプリが、例えば5個を超えた瞬間、iPhone 8とその他のスマートフォンとの間に、埋められない溝があることを体験することになるだろう。

また同じくiOS 11では拡張現実アプリを開発できるAR Kitも利用できるようになる。ゲーム以外にも、街の検索や人、空間への装飾など、カメラを利用した新しい体験を、より多くの人々に提供できるようになる。

iPhoneの進化は今一度、アプリ開発者の創造力に託された状態となった。その観点から言えば、デバイスとしてのiPhoneの評価だけで判断すると、アップルの狙いを見誤ることになるだろう。