【レポート】

ベイスターズが目指す横浜の"みらい" - 球団社長が語る「今」と「これから」(前編)

1 好調を維持するベイスターズ、その最中にバトンタッチ

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この10年弱、Bクラスが定位置だったプロ野球・横浜DeNAベイスターズ。クライマックスシリーズ(CS)が開始してから初めて、球団としては11年ぶりの3位となった昨年の勢いそのままに、今年もAクラスをキープしてCS進出へとひた走っている。

一方で観客動員数も好調だ。ディー・エヌ・エーに買収された2012年以降、積極的なマーケティング施策によって座席稼働率が上昇。2011年に50.4%、110万2192人だった動員が、2016年には93.3%、193万9146人まで拡大した。今シーズンも前半終了時点で稼働率95.2%、104万8256人と、2011年の年間動員数に匹敵する好調ぶりだ。

観客動員数はこの5年で飛躍的に増加(出典 : YDB)

そうした環境のなか、昨年10月に球団改革を主導した前球団社長の池田 純氏が任期満了に伴って退任した。池田氏は退任後にJリーグ特任理事、日本ラグビー協会特任理事に就任するなど、精力的な活動を続けている。そして、これまでの改革を主導した池田氏の後任として球団社長に就いたのが岡村 信悟氏だ。

岡村氏は総務省出身でありながらディー・エヌ・エーに身を投じたやや異色の経歴で、ディー・エヌ・エー本社のスポーツ事業本部の本部長も兼任している。実はこのスポーツ事業本部も兼任しているところがポイントで、岡村氏は横浜・関内地域をベイスターズを中心としたスポーツで賑わいをつくる「横浜スポーツタウン構想」を抱いている。岡村氏にベイスターズの今、そしてこれからを聞いた。

横浜DeNAベイスターズ 代表取締役社長 岡村 信悟氏

好調だからこそ、次の一手を

――今シーズンも成績、観客動員ともに好調ですね

高田GMと中畑前監督が育ててきた若い力を軸に、昨シーズン初めてCSに出場できました。東京ドームでファンの声援に支えられて勝ち上がり、一方のマツダスタジアムでは圧倒されて横浜に帰ってきた。ファンに支えられて勝つ喜びを味わいつつ、同時に負けた悔しさを高い次元で体験できたわけです。

プロ野球選手は誰もが「勝ちたい」と思っていますが、ベイスターズはより切実に、自分たちの力を示したい、勝ちたいと感じているシーズンです。前半戦はその気持ちが空回りしたのか、当初はあまり良くありませんでしたが、6月の交流戦を乗り切ったあたりから自分たちのペースで試合を進められるようになったように思います。

以前は「常にAクラスを狙いたい」と言える環境ではなかったかもしれません。しかしそれを、胸を張って言えるような環境になりつつありますし、今シーズンは来年以降につなげる意味でも試金石の年だと思っています。

一方で観客動員数も、お陰さまでファンの方々の"熱"に支えられ、これ以上にないと考えていた昨年の数字をさらに超えるペースで来場いただいています。

ただ、稼働率を見てもおわかりいただけるように物理的な制約から、ある程度天井が見えてストレッチが効かない状態です。かつての放映権料に依存したビジネスモデルではなく、今はスタジアムに来ていただいて飲食物、グッズを購入してもらい、そこに価値を見出していただいた広告を展開するモデルです。スタッフも頑張ってくれているのですが、今の枠組みでは(業務量、収益化ともに)キャパシティはギリギリ。

本拠地開幕戦、最終戦を除くすべての試合で冠スポンサーが就くなど広告収益も安定した(C)YDB

特にネックと捉えているのが、ファンが「来たい」と思っていても来ていただけない環境です。もちろん、年間で何試合も来てくださる熱心なファンの方は大切です。ですが、「コミュニティボールパーク」化構想という地元に根ざした球団を志向した時、友人や同僚、恋人、家族と来て「かけがえのない体験」をしてもらう、1年に2、3回寄ってもらうというライト層が来るきっかけを作りづらくなっている現状があります。

過去の経験から、今の好調なチーム状況が永続するとは言えません。事業的に、チーム状況が良い時だからこそ、足元を見直して「横浜DeNAベイスターズ」というチームのブランド力を高める必要があると考えています。

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インデックス

目次
(1) 好調を維持するベイスターズ、その最中にバトンタッチ
(2) ベイスターズ体験を深めるための「コンテンツ拡充」
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