アップルが6月に発表した、10.5インチの「iPad Pro」と12インチ「MacBook」の2017年モデルが、日本でも発売された。

かつて別カテゴリーのデバイスと思われてきたタブレットとノートPCだが、近年は急速に接近しつつある。果たしてアップルはiPadとMacBookをどのように売り分けていくのだろうか。

12インチMacBookの2017年版(左)と、10.5インチiPad Pro(右)

「コンテンツ再生機」からの脱却を目指すiPad Pro

10.5インチの「iPad Pro」は、画面が9.7インチから10.5インチに大型化。性能が向上したことに加え、日本語配列のキーボードが発売されたのも嬉しい点だ。一方、2017年モデルのMacBookも大きく性能が向上し、キーボードも打ちやすくなっている。

カバーを兼ねたキーボード「Smart Keyboard」は日本語配列が登場

一般に、iPadとMacBookは異なるカテゴリーのデバイスと認識されている。タブレットであるiPadは動画や電子書籍などコンテンツの消費に向いており、パソコンであるMacはコンテンツやビジネス文書を作るためのもの、という分け方だ。

だが、タブレットの役割が単なるコンテンツの再生だけなら、高い性能や新機能を求めて買い換える必要はない。それを裏付けるかのように、iPadの売り上げは2017年第1四半期まで、実に13四半期連続で前年を下回っている。

そこでアップルは、キーボードやペンに対応したiPad Proで「コンテンツ再生機」からの脱却を図ろうとしている。もともとiPadは、ハードウェア性能や操作感、アプリの充実度といった点で、他社の追随を許さない。仕事にも使えるようになれば鬼に金棒だ。

さらに2017年秋に登場する「iOS 11」では、これまで直接的には対応していなかった「ファイル」操作を可能にすることで、また一歩、PCの守備範囲に踏み込むことになる。そこで問題になってくるのが、MacBookとの棲み分けだ。