東芝は、2月14日発表予定だった2017年3月期第3四半期決算の発表を1カ月延長した。延長のきっかけは、発表に向けて手続きを進めていた1月、同社のグループ会社であるウェスチングハウス社によるCB&I ストーン&ウェブスター社の買収に伴った取得価格の配分手続きの過程で、内部統制の不備があったことを示唆する内部通報だった。これを受けて、事実関係を調査したところ、四半期連結財務諸表に影響が及ぶ可能性があるとの判断に至った。ただ、具体的な修正事項を認識していないため、決算を完了させるには、さらなる調査が必要との結論に至った。こう東芝は説明している。

この時、正式な決算ではなく同社の見解に基づく見通しとして発表した第3四半期業績は、営業損益は前年同期比3128億円減の5447億円の赤字で、そのうち原子力事業ののれん減損が7125億円とした。さらに、今回修正した通期の業績見通しでは、売上高は2016年11月8日公表値と比べて1200億円増の5兆5200億円としたものの、営業損益は5900億円減の4100億円の赤字になると示した。

売却は続く?

東芝は、財務体質強化などのために、4月の半導体事業の分社化を発表した。東芝機械の株式など、資産の売却も進めているところだ。さらに、子会社で東証1部上場の東芝テックやランディス・ギアの株式売却を検討しているとの報道も出ている。

東芝のメモリ事業に分社化を巡っては、昨年シャープを巡ってホンハイと買収劇を繰り広げた産業革新機構の志賀俊之会長は、東洋経済の取材に対し、現段階では買収の意思がないと答えているが、シャープを買収したホンハイなど複数の企業の名前が上がっている状態だ。

ちなみに、「サザエさん」のスポンサーを降りるかということについては、東芝広報は、「更新のタイミングで検討」と答えたが、更新のタイミングについては、「個別の契約については答えられない」とした。

どんな決断をしていくのだろうか。注目の集まる東芝の決算発表期限は明日だ。しかしここにきて、東芝は決算を発表できないのではないかとの見方が出てきている。

ウェスチングハウスのゆくえ

今月10日、麻生太郎財務・金融相は閣議後会見で、東芝の決算発表が予定通り14日にできるかは、米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)の米連邦破産法11条(チャプター11)適用申請がいつになるか次第だと述べた。

ウェスチングハウスについては、将来にわたるリスクを断ち切るために、東芝は破産法の適用申請を今月中に決断する見通しだとの報道も出ている。こうなると、追加の損失がさらに発生し、額が1兆円まで膨れ上がるとの見方もある。そういった状況から調査終了が明日までに間に合わない可能性もあるものとみられるのだ。

13日、午後5時に東芝広報に決算発表の日時について問い合わせたところ「今の段階で、決まったものはない」と回答。金融庁が再延長を認めない場合、上場廃止の可能性も出てくる。東芝はあす、運命の日を迎える。