2月19日に幕張メッセで行われた国内最大の造形イベント「ワンフェス2017[冬]」。ワコムブースでは、液晶ペンタブレット「Cintiq 27 QHD」と、Windows 10搭載タイプの液晶ペンタブレット「Wacom MobileStudio Pro」を設置し、CG/Game/VFX制作向け3Dモデリングツール「ZBrush」(ズィーブラシ)開発元のPixologicとタッグを組んでブースを出展。

ブース内のステージでは、2016年に引き続き、デジタル原型製作の最先端を楽しみながら学べる初心者向けセミナーを開催した。ここでは、2016年10月に登場した「ZBrash」の簡易版「ZBrush Core」のセミナー「"ZBrush Core"超入門講座」の模様を紹介する。

「ZBrush Core」のテクニックを学ぼうと多くの人がブースに詰め掛けた

「ZBrush Core」をお絵かき感覚で遊ぶために

本イベントでは、ウェブサイト「ZBrush Core club」を運営している福井信明氏が登場し、3DCG初心者でも、楽しくお絵描き&粘土遊び感覚で立体が作成できる「ZBrush Core」の操作をイチから分かりやすく解説していた。

「ZBrush Core」は、デジタル造型を作る際の作業工程が簡略化され、前起きなくデジタル造型が生み出せると説明する福井氏。「ZBrush Coreは大げさに言うと“学び”が不要。子供が紙を与えられて、落書きをしていく感覚に近い」と従来の3D製作ソフトとは異なることを力説し、「ZBrush Coreを起動してファイルブラウザ『ライトボックス』を閉じれば、球体が登場する。あとはこの球体に手を加えていけばOK」と初心者でもすぐに作業を開始できると説明した。

「ZBrush Core club」の福井信明氏

ソフトを起動するところから分かりやすく制作手順を紹介

造形は「視点を変える」ことが重要

福井氏はブラシのペンを使いながら、球体をベースに、ものの数分でネコの顔を完成。作業工程としては、球体にスタンダードブラシを用いてペンサイズの変更しつつ、まずホッペタや鼻、口を制作。その後ヘラのブラシに変更し、球体を削るように目を作り、再びスタンダードブラシで耳や手、ヒゲを制作していた。

ポイントとしては、空間をクリックして物体の視点を変えて作業しやすい位置にすることや、物体を"なめす"ブラシでつなぎ目を滑らかにしたり、物体の全体のプロポーションを変更したりするツールを用いたりすると、よりクオリティの高い「3Dっぽくない作品に仕上げられる」という。また、[Alt]キー(Macでは[Option]キー)を押しながら描くことで、その場所をくぼませられるため、目のくぼみなどの制作に便利とのこと。

最初は数種のブラシツールを用いるだけ

ものの数分でぶさいくネコが完成

また、「ZBrush Core」ではもうひとつ、違うアプローチで造型することが可能で、骨組から造形する方法も紹介された。

こちらは「積み木のように、物体を繋ぎ合わせて制作する感覚に近い」という福井氏。物体を押して引っ張ると立体が追加されるブラシを用い、あっという間に人間の骨格を完成させていた。もちろん、作った箇所は、後からでも自由に向きやサイズを自由に変更できるため、時間をかければ、理想の形に近づけるという。

まずは、おおまかな骨組を作成

サイズを変更すれば手なども簡単に作成可能

複雑な服や折り曲げの表現も手軽

さらに「ZBrush Core」の大きな強みとしては、服のような形も手軽に作れることも挙げていた。作り方としては2タイプあり、1つ目は完成した骨格に、盛るブラシで直接服を足していく方法。もう1つは、選択した箇所に厚みを持たせた物体を作り出す方法で、こちらの場合「厚みを持たせた箇所を別の物体として骨格と切り離すことができ、複雑な服のデザインや、服の折り曲げた表現も容易」とメリットを挙げた。

直接服を骨格に描いていく方法

厚みを持たせて物体を切り取る方法

最後に福井氏が「ZBrush Core club」で「ZBrush Core」の操作を分かりやすく紹介しているほか、本サイトをまとめた初心者向けの書籍「ZBrush Core 超入門講座」が近日発売されることをアピールし、イベントは終了した。