「Mate 9」の投入で勢いに乗ることができるか

SIMフリースマートフォン市場で高い人気を獲得し、勢いに乗るファーウェイは、12月13日にもう1つのフラッグシップモデル「Mate」シリーズの新機種、「HUAWEI Mate 9」を発表。さらなる攻めの姿勢を見せている。

こちらは5.9インチディスプレイを採用した大画面・高性能モデルで、4000mAhものバッテリーを搭載するほか、ダブルレンズ機構も1200万画素のカラーセンサー搭載カメラと、2000万画素のモノクロセンサー搭載カメラを用いたものへとパワーアップ。ビジネスパーソンをターゲットにした、一層高い性能を求める人に向けた内容となっている。

それでいて、Mate 9は、市場想定価格が60,800円と、P9の当初の価格に近く、昨年同社が発売したフラッグシップモデル「HUAWEI Mate S」(7万9,800円)と比べると2万円近い設定がなされている。P9がヒットした勢いを受け、高価格帯のモデルをよりリーズナブルな価格で提供し、販売拡大を進めようとしていることが分かる。

新しいフラッグシップモデル「HUAWEI Mate 9」。バッテリーやカメラなどでP9より一層高い性能を備えながら、6万円程度とこのクラスでは入手しやすい価格を実現

ファーウェイはグローバルではハイエンドからミドル、ローエンドまで幅広いラインアップを揃えており、市場に適したモデルを投入できることを強みとしている。P9でハイエンド市場の開拓に成功しただけに、今後はミドルハイ~ハイエンドクラスの比較的高価格なモデルを、日本市場に積極投入してくる可能性が高いといえそうだ。

だが一方で、日本市場に向けた対応に関しては弱い部分がまだ存在する。その直近の課題となるのがVoLTE対応、ひいてはau回線に向けた対応だ。

今年後半からいくつかのメーカーがVoLTE対応を進め、これまでほとんど対応機種が存在しなかった、「UQ mobile」などau回線を用いたMVNO向けの対応を積極化するようになってきている。だがファーウェイは、先行するASUSやTCLコミュニケーションなどと比べると、au回線向けの対応には遅れがあるようだ。

確かにファーウェイも、UQ mobile向けにP9 liteをカスタマイズし、VoLTEに対応させた「HUAWEI P9 lite PREMIUM」を投入してはいる。だが同社は独自のチップセットを採用しているため、チップセットの変更が必要になるなど独自性が不利に働いているのも事実だ。ファーウェイ関係者によると、今後は独自のチップセットでもVoLTEへの対応は可能だと説明しているが、KDDIはビッグローブを買収するなどしてMVNOの拡大を急速に進めようとしているだけに、販路拡大のためにもau回線向けの対応は急がれるところだ。

ファーウェイはUQ mobile向けとして「HUAWEI P9 lite PREMIUM」を投入しているが、au VoLTE対応のためチップセットを変更するなどのカスタマイズを加えている