具体化してきたTNGA

TNGA発表時のプレスリリースによると、「走る」、「曲がる」、「止まる」といった運動性能はもちろん、ドライビングポジションなどの人間工学や、デザインの自由度などを追求した新しいプラットフォーム(車台)を開発し、基本性能の向上と開発の効率化を両立するとある。

TNGAによる新プラットフォーム

さらにこの新型プラットフォームは、設計部門とデザイン部門が協力して骨格改革に取り組むことで、これまでにないエモーショナルなデザインと優れたハンドリングが実現できるとしている。3種類の前輪駆動系プラットフォームから取り組む方針であることも明記されていた。

続いてトヨタは、2013年3月に「TNGA企画部」の設置を発表するとともに、取り組み状況を公表している。

ここではまず、エンジンフードと重心を低め、かっこいいデザイン、良好な視界確保、運動性能の向上など、ユーザーの感性に訴えるクルマを生み出せる次期プラットフォームを開発し、2015年に発売する新型車(これが現行プリウスだ)より順次導入することを表明した。

ここでは初めてパワートレイン(エンジン、トランスミッション、駆動系の総称)にも言及。こちらについても低重心・高性能にこだわったユニットを新開発していくとしている。

世界販売台数の半分に導入予定

個別の車種をひとつずつ開発するのではなく、まず中長期のラインナップを決め、複数車種の同時開発を行う「グルーピング開発」を導入し、ユニットの共用化を進めることもTNGAの特徴。これによって開発効率を20~30%向上し、そこで得られたリソースを「もっといいクルマづくり」に投入していくとのことだ。

その2年後、つまり昨年3月にも、トヨタは「もっといいクルマづくり」の取り組み状況を公表する中で、TNGAに触れている。ここではパワートレインとプラットフォームを一体で新開発することにより、クラストップレベルの低重心高を実現し、基本性能や商品力を飛躍的に向上させていくとしている。

さらに新しいパワートレインは燃費を約25%、動力性能を約15%以上向上し、ハイブリッドシステムでも15%以上の燃費向上を見込んでいることや、プラットフォームはボディ剛性を従来比で30~65%向上するという数値目標も公表した。

2020年頃に全世界の販売台数の約半数に導入する見込みだというこのTNGAを、新開発プラットフォームのことだと思い込んでいる人も多い。しかしここまで読み進めてきた方は、TNGAはクルマづくり全体の革新であることが分かるだろう。フォルクスワーゲンで言えばエンジンの「TSI」、トランスミッションの「DSG」、プラットフォームの「MQB」を一体で開発しているような状況だ。