【レポート】

電子帳簿保存法の改正で、企業の経費精算はどう変わる?

平成28年度の税制改正により、電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)におけるスキャナ要件が緩和され、これまでの「原稿台と一体となったもの」に加え、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した画像を紙の領収書の代わりに保存することが認められた。この改正は企業にとってどんな意味があるのか? マネーフォワード MF クラウド本部の今井義人氏に話を聞いた。

マネーフォワード MF クラウド本部の今井義人氏

電子帳簿保存法は、7年間の原本保存義務がある契約書・領収書等において、原本の代わりに電磁的記録(画像データ)の保存も認めようと、2005年から始まった制度。

平成27年度の税制改正では、契約書・領収書の金額において3万円未満という上限が撤廃されたほか、電子署名が不要になるなどの緩和が行われた。平成28年度の税制改正ではさらに、スキャナ以外にスマートフォンで撮影した画像での保存も認められた。今井氏は「この点にみなさん注目されており、大企業だけでなく、小さな会社でも導入したいという原動力になっています」と語る。

電子帳簿保存法改正の経緯

平成28年度に改正された要件

電子帳簿保存法の要件には下図ようなものがあるが、特に注目されるものはデータの入力期限があるという点で、特にスマートフォンで読み取る場合は3日以内にタイムスタンプを付与する必要がある点や、企業がどのように業務フローで行うのかという「適正事務処理要件」についても関心が高いという。

電子帳簿保存法の要件

今井氏はタイムスタンプを3日以内に付与する要件によって、企業はこれまでの月末一括処理から随時処理にワークスタイルを変える必要があり、注意が必要だと指摘。ただこれは企業にとっては良いことで、経理部門や申請する一般従業員の負荷が分散されるというメリットがあると説明した。

電子帳簿保存法の採用で企業のワークスタールも変化

では、平成28年度の税制改正により、企業の経費清算処理はどのように変化するのか?

これまでは従業員から提出された領収書等の原本は、経理担当者が内容をチェックしてスキャナで読み取り、画像データに変換する必要があったが、今後は従業員本人がスマートフォン(あるいはデジタルカメラ)で撮影し、申請書と一緒に経理部門に提出。経理担当者は、送られてきた画像データを使って申請書の内容をチェックする。

電子帳簿保存法の要件を満たす運用フロー。上がこれまで、下が平成28年以降(「経済産業省 平成28年度 経済産業関係 税制改正について」より)

原本を廃棄するには、これまで通り第3者(申請した従業員、処理を行った経理担当以外の人)のチェックを経てからとなる。

ただ、これまでは申請書と同時に原本を提出していたが、今後は週1回、月1回など、会社が社内ルールで定めた期間でまとめて提出すればよい。また、第3者チェックはサンプルチェックでOKだという。

そして、電子帳簿保存法の運用を開始するには、承認申請書を税務署に提出する必要があるため、どのようなシステムを利用するのか、社内でどのような事務手続により行うのかを決めておく必要がある。事務手続については、会計事務所や監査法人等に相談するといいという。

なお、実際運用を開始するのは、申請してから3カ月後となる(申請の受け付けはすでに開始されている)。

導入スケジュール

今井氏は、電子化するメリットとしては、原本を保存する倉庫代等の削減もあるが、導入に伴う事務手続の見直しによる効率化がもっとも大きいと話す

同社では、クラウド型経費精算ソフト「MFクラウド経費」において、電子帳簿保存法(スキャナ保存の要件緩和)への対応を9月30日より開始している。タイムスタンプサービスには、アマノビジネスソリューションズと連携し、スマートフォンで撮影された領収書などの証憑を電子帳簿保存法の要件を満たす形式で保存することができる(アップロードした時点でタイムスタンプを付与)ようになっている。また、撮影した画像から内容を自動でデータ化するサービスも行うという。

マネーフォワードの電子帳簿保存法への対応



人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事