デジタル一眼カメラには写真を記録するデータ形式として、「JPEG」と「RAW」の2種類があります。JPEGは多くの方に知られていると思いますが、RAWは使ったことがないという人もいるかと思います。今回はこの二つの記録形式の違いを解説しましょう。
JPEGはパソコンやスマートフォンでもおなじみのファイル形式ですが、デジタル一眼カメラでは「RAW (ロー)」形式でも撮影データを記録できます。最近では、コンパクトカメラやスマートフォンでもRAW記録に対応した製品が登場しています。
RAWの意味を英和辞書で調べると、「生のまま」「未加工」「調理していない」「精製していない」と解説されています。写真の記録形式においては、イメージセンサーの情報を "そのまま" 記録したものになります。JPEG形式ではそぎ落とされるような映像情報も残しているため、RAWはJPEGに比べてファイル容量が大きくなります。たとえば、同じ風景を撮影したファイルサイズを比べると、JPEG (5,184×3,456ピクセル・高画質設定) だと6.63MB、RAWだと24.4MB、実に3.5倍以上の違いがあります。
RAW形式で撮影する最大のメリットは、「補正できる余地が多く残されている」ところにあります。たとえば、明るすぎてJPEGだと白飛びしてしまった部分や、暗すぎて黒つぶれしてしまった部分を補正する際、JPEGでは修正不能でも、RAWでは再現できたという場合が多くあります。RAWはJPEGよりも記録ビット数が多いため、色の階調もより多く記録されているからです。そのほか、RAWデータでは、ホワイトバランスを簡単に変更することもできます。
しかし、前述したようにRAW形式で記録するとファイルサイズが大きくなるので、メモリカードに保存できる枚数が格段に減りますし、(機材によりますが) 連写できる枚数も少なくなります。
最新のWindows 10やMac OS Xでは標準でRAW画像を扱えますが、Windows 8.1以前のパソコンでは、Codec (コーデック) ソフトをインストールする必要があります。どちらを使うかはユーザー次第ですが、記録容量が許されるなら「RAW+JPEG」で同時に撮影しておくのがオススメです。
JPEGとRAWのおもな違い
JPEG
* 画像のファイルサイズがそれほど大きくない
* 補正して保存すると劣化する
* 情報量がRAWに比べて少ない (8bit)
* ファイルの拡張子は「.JPG」「.JPEG」
RAW
* ファイルサイズがJPEGよりも大きい
* JPEGやTIFFに書き出すには現像処理が必要
* 補正する際、自然に仕上げやすい
* 情報量がJPEGより多い (12bitまたは14bit)
* ファイルの拡張子は「.CR2」(キヤノン)、「.NEF」(ニコン)など
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