どたばたの買収劇の末、台湾の鴻海精密工業(以下、ホンハイ)の傘下に入ったシャープ。生まれ変わった同社が発表した白物家電が、ウォーターオーブン専用機「ヘルシオグリエ」だ。人気商品、ウォーターオーブン「ヘルシオ」の機能の一部だけを持たせたという新商品は、アジアを射程圏内に納めているという。その思惑は……。

ヘルシオ新商品は"温め"に特化

9月、シャープが初披露したのは、同社が「健康」と「おいしさ」を両立すると展開している家電ブランド「ヘルシオ」の新商品「ヘルシオ グリエ」。この商品は同ブランドの象徴ともいえるウォーターオーブン「ヘルシオ」に搭載されている過熱水蒸気技術を使用。「ヘルシオ」でできる調理のうち「蒸す・ゆでる」を除いた「焼く・揚げる」調理だけができるというものだ。

「ヘルシオ グリエ」10月11日発売。オープン価格、店頭で4万円前後想定とのこと

従来の電子レンジ加熱だと油でギトギト、しんなりしてしまっていた揚げ物。「ヘルシオ グリエ」を使って加熱された鳥のから揚げは、従来の電子レンジ加熱で、揚げたてのように、外はサクサク、中はやわらかくという状態が再現されていた。

まるでできたてで、味の劣化が感じられない

レンジでチンで「健康」と「おいしさ」を両立

同社独自の過熱水蒸気技術とは、100度で気化した水蒸気をさらに過熱、この力を利用して加熱するというもの。熱量は通常の熱風の約8倍と加熱する力が強いのが特徴。そのため食材の中までしっかり熱が入る。しかも水の膜ができるため、余分な油が水と一緒に出ていく、脱油効果がある。また、過熱水蒸気は、温度が低いほうにより多くの熱を与えるので、冷凍食品の加熱や、異なる食材の同時加熱も可能。そのため、例えば朝食用の料理をいっぺんに加熱したりすることもできる。この技術によって、できたてほやほやを再現できるのが、「ヘルシオ」の売りなのだ。

「グリエ」は「ヘルシオ」の3分の1のサイズで「焼く・揚げる」という機能だけに特化した結果、「ヘルシオ」では機械が大きいため十数分加熱に時間がかかっていたものが、数分で完了するという進化を遂げた。ではなぜシャープは、「ヘルシオ」の一部の機能のみに特化し、改めて新商品を出すのか。