7月6日には成田空港初の24時間営業の飲食店として、そして20日にはパスポートコントロール後の制限エリア内のサテライトに、と成田空港第2ターミナルに次々とオープンした吉野家。これから日本を離れるのなら最後の食べ治めとして、または、帰国後にまず1発吉牛を! という吉野家ファンにはかなりの朗報だろう。しかも、サテライト店には全国初のメニューもあるとのこと。早速行ってみた。
外国人客多し! メニューもがっつり系が充実
このところ成田空港第2ターミナルの制限区域内には、サテライトまで移動するためのモノレールがなくなったその跡地に多くの店ができており、訪れる度に少しずつ変化していて楽しい。免税店のショッピング街を抜け、このモノレール跡地に行くとそこはリラクセーションを主体とした店舗などが展開。カフェや横になれるベッドまで設置されているのもうれしい。ここを抜けてサテライト部分まで行くと、また小さな免税店やカフェが点在するのだが、その一角にできたのが吉野家 成田国際空港第2ターミナルサテライト店である。
店構えはすっきり広々、間口が広く入りやすい。カウンター席よりもテーブル席が多く、ファミレスといった雰囲気で店先には食品サンプルが並んでいる。のぞいてみると、あれこれ小鉢に彩られた定食スタイルがメインとなっており、かなり豪華。値段も1,000円を下回るものがほとんどなく、普段の吉牛感覚とは全く違う。しかし、中に入ってみるとカウンターで注文して番号を呼ばれたら受け取りに行く、やはり気軽な店というスタイルはそのままだ。
ぐるりと見渡してみると、日本人よりも外国人客の方が多い。家族連れ、カップルと客層もさまざまだが、おひとりさまの外国人はいない。海外で事業展開する吉牛でもこうした光景が見られたが、制限エリア内はパスポートコントロールを通過して日本から出国した状態の場所であるため、これも「海外店舗」と言っても過言ではない……かもしれない(無理か)。
メニューの表記も外国人仕様
カウンターはドリンクと食事に分かれているが、奥の食事の方のカウンターで飲み物も一緒にオーダーできる。外国人客が多いとはいえ、カウンター内は日本人スタッフのみが働いていた。メニューも英語、中国語、ハングルで書かれており、日本語は一番後。オーダーが英語でされることも多いようだが、英語の特訓などはしたのだろうか?
聞けば、「いやぁ~、無理です。これですよ、これ」とカタカナで書かれたアンチョコを見せてくれた。まぁ、英語で「Beef」とか「Pork」などと書いてあるわけだし、アレルゲンは絵で表現されているので宗教的、体質的にも食べられないものがある人はメニューを見れば分かるようになっている。英語で細かい説明をすることはなさそうだ。
フィリピンの「牛肉ラーメン」とは一味違う!?
さて、数ある豪華定食メニューだが、「おお! 」と気分が上がる。なにしろ、以前「海外牛丼事情」の取材時に量が多すぎてひとりでは食べきれないと断念した、2種類の丼をひとつのプレートに乗せたコンボや、これまで日本の吉牛にはなかったとんかつなどのメニューがめじろ押しなのだ。そして……あの、フィリピンの吉牛で食べた「牛肉ラーメン」があるではないか!
こちらはフィリピンの吉野家で出会った「牛肉ラーメン」(2013年4月取材) |
あの時は、「単なる牛丼のご飯の部分が麺になって激しくつゆだくにした食べ物」という印象で不完全燃焼な気がした牛肉ラーメンだが、こちらのメニューは何だかこだわりが感じられるネーミングの「牛骨出汁ラーメン」である。スタッフのお兄さんも、「イチオシはこれです! 」と自信満々だ。これは……食べてみるしかない。というわけで、今回はカメラマンもいたため、2種類をオーダー。カメラマンには日本にはないかつ丼と牛丼のコンボをオーダーしてもらった。
牛骨のうまみが効いたあっさり味
料理を待つことほんの数分、スピード感はさすが吉野家である。黒いトレーに乗せられた料理は全てが大きく感じる。ラーメンには牛丼の具、ネギ、昆布、煮タマゴ、メンマがトッピングされており、付け合わせに高菜、すりごま、紅ショウガがついてくる。付け合わせの方、別のラーメンメニューのとんこつ用では? と思ったが、牛丼には紅ショウガを入れたりするし、メニュー写真を見るとどうやら合っているらしい。こちらは税込1,000円なり。
フィリピンの時の経験から、実はこのラーメンにはそんなに期待していなかったのだが、一口スープを飲んでみてまたも「おお! 」と歓声をあげてしまった。ちゃんと牛骨らしいしっかりした味わいがあり、すっきりと澄んでいてさらりといただける。ラーメンなのだから当たり前だが、牛丼とは全くの別物。あっさり味だが、牛肉が好きだけどそんなに食べられないという人には良さそうな、牛エキスが詰まった一品である。
このスープをご飯にかけてごま油をたらしたらまた楽しめるのではないだろうか。なお、トッピングの肉は牛丼に載っているものと同じなので、牛丼も食べたかったという人の心も慰めてくれることだろう。
ボリューミーなコンボでもう満腹に
そして、そのボリューム感に圧倒される「ビーフ&とんかつコンボ」。豚肉と牛肉を両方一度に楽しめるがっつり系で、プレートに盛られており、丼御飯2杯分はなさそうだが依然としてかなり量が多い。とんかつは1枚まるまる、そして野菜で仕切られ牛肉が載る。付け合わせに野菜の小鉢、高菜、味噌汁がついて税込1,200円だ。
とんかつを一切れもらって食べてみると、衣はさくさくして、なかなかジューシーに揚がっている。肉は決して分厚いとは言えないが、かといって薄いわけでもなくしっかり1人前。ソースなどはかかっていないので、受け取って席に持ってくる前に箸などがおいてあるカウンターに寄って、自分で好きなだけかける。カウンターにはソースの他に醤油やラー油があり、どれを何にかけるとは特に説明がないが、外国人にはどう説明するのだろうか、とほんのり疑問。
とはいえ、カツだけでもしっかり肉の味わいを感じられるので何もつけないで食べてもおいしいかもしれない。牛肉部分は言わずもがなの吉野家の牛丼味だそうだ。食べ終えたカメラマンは、「機内食はもう食べられないと思います」とのこと。そうだろうなぁ、とその満腹感は全く想像に難くない。
手ごろなモーニングセットも用意
もちろん牛丼単品でのオーダーも可能だし、価格が手ごろなモーニングセット(11時まで)もあるが、やはりここは日本国内の吉野家にはないラーメンやがっつり系セットメニューにトライするのが醍醐味というもの。成田空港第2ターミナルからの出発便なら、ぜひとも立ち寄るために早めに(そしてだいぶおなかをすかせて)空港に行くことをオススメする。
ちなみに帰国後、入国審査や税関を抜けてゲートから出た第2ターミナル到着ロビーのひとつ上の階階には、24時間営業の吉野家がある。海外旅行の後にすぐにでも牛丼! も可能だ。これも吉牛ファンにはうれしいところではないだろうか。
※記事中の情報は2016年7月取材時のもの