90年代に社会現象にまでなった「美少女戦士セーラームーン」。20年以上たってブームが再燃。先日まで開催されたセーラームーン展は30万人が訪れた。セーラームーン20周年プロジェクトはなぜ成功し続けているのか。

来場者数30万人を突破したセーラームーン展

6月14日(火)、開場前のチケット売り場は、すでに100人以上の人で埋め尽くされていた。多くは大人の女性客で、中には3世代で来ているグループ、外国人グループなども見られ、今か今かとはやる気持ちを抑えながらチケット購入の順番を待っていた。

6月14日午前9時50分ごろ

「武内先生が六本木でやりたいというこだわりをお持ちだったので」と打ち明けるのは、講談社の小佐野文雄氏。小佐野氏は連載当初から美少女戦士セーラームーンの編集者として漫画家・武内直子氏と二人三脚で作品作りに携わってきた。20周年プロジェクトの中心人物の1人だ。

セーラームーン20周年プロジェクトの中心人物の1人、講談社の小佐野文雄氏

少女の“DNA”に刷り込まれたセーラームーン

セーラームーン20周年プロジェクトは、当初2つのターゲットに向けた戦略を描いていた。セーラームーン連載時に少女だった現在20代後半から30代前半の女性と、当時一定数いた男性「オタク」層の2つだ。当時の「なかよし」は約200万部売り上げていたが、そのうち約10万部は男性読者だった。今40~50代くらいになった男性層については、20年経って帰ってこなかったそうだ。しかし一方で女性層の反応は予想以上だった。

小佐野氏によると、今回のセーラームーン展の来場者層を見ていて、女性層の中で最もセーラームーンが受けているのは、アニメやマンガに常日頃から親しんでいるコアな層ではなく、もっとライトな層だったことが分かったという。ライト層とは、ファッションや映画などと同じくらい興味があるものの中にマンガ、アニメが入ってくる層、そして大人になってマンガやアニメを観なくなった層。この2層がセーラームーンに帰ってきているのだという。小佐野氏は「当時少女だった女性達は小さいころに身につけていたというか、DNAに刷り込まれていたという感じを受けるくらい」と。“DNAレベル”、その世代のアイデンティティへの刷り込みをこう表現した。