7月18日、東京海洋大学にて「海の日」記念行事が催された。一般の方々に広く海への親しみや興味を持ってもらうべく、東京海洋大学の最先端研究と教育活動をわかりやすく紹介する無料公開イベント。東京海洋大学の越中島キャンパス(東京都江東区)と品川キャンパス(東京都港区)の2会場において、海に関するさまざまな実験やシミュレーター体験、セミナー、アニメ映画上映、資料展示などが行われた。

ここでは、越中島キャンパスに設置された「水中探査機の体験操縦」コーナーを紹介したい。カシオの耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK」の最新人気モデル、"カエル"の愛称で親しまれる「FROGMAN」(GWF-D1000)と、無人水中探査機「ROV」(Remotely operated vehicle)とのコラボレーションとは?

GWF-D1000
税別125,000円

GWF-D1000B
税別130,000円

開発中というROVの説明。探索ソナーやマニピュレーターも装備

仕組みは本物と同じ! 模型で水中探査機の操縦体験

「水中探査機の体験操縦」コーナーには、遠隔操作型の水中無人探査機(ROV:Remotely operated vehicle)の実物が展示されていた。ROVは、たたみ1畳ほどの大きさで、アルミ製フレームの中にカメラや映像の出力装置、各種測定器、推進器(スクリュー)などが取り付けられている。

展示されていたROV(実物)は、東京海洋大学で開発中のもの。海洋教育での使用を目的に開発されている。後述する富山湾での実証実験に使われたROVとは別のもの

その隣では、水槽に浮かべたROVの模型を使って、遠隔操縦の体験が行われていた。模型とはいえ、その原理や仕組みは実物とほぼ同じ。模型前方に取り付けられたカメラの視野下方には、G-SHOCK MASTER of Gシリーズの新FROGMAN(フロッグマン)、GWF-D1000が映し出されている。つまりFROGMANが、ROVの深度計と方位計を兼ねたデバイスとして活用されているのだ。

ROVの模型操縦設備。奥の水槽にROVを沈め、操縦者はPCのモニターに映し出されるROVからのカメラ映像を見て操縦

黄色いボディがROVの模型。水槽には、水中生物に見立てた模型やフィギュアも入れられている

模型といえど、基本的な仕組みは本物のROVと同じだという

前方に取り付けられたGWF-D1000

ROVのカメラからPCのモニターに出力された映像

操縦者は、ROVのカメラ映像をモニターで見ながらROVを操縦する。操作は左右のレバーが付いたリモコンで行い、両方のレバーを前に倒せば前進、後ろに倒せば後退。右のレバーだけ前に倒せば左に旋回、左のレバーだけ前に倒せば右へと旋回する。特定の世代にわかりやすくいえば、リモコンの戦車方式である。

コントローラーは非常にシンプル。これは、ひょっとしてタ○ヤのリモコンコントローラーボックス……

操縦方法はリモコン戦車と同じ。では、旋回するにはどうすればいいか……もう、おわかりですね

操縦者からは、ROVの動きはまったく見えない。カメラ映像とGWF-D1000からの情報だけが頼りなのだ。写真右は水中を行くROVの模型

模型からの映像。GWF-D1000左上の円にコンパスが表示されている

実物同様、2基の潜行用スクリューが見える

【動画】ROV(無人水中探査機)模型の潜水動作
※音声が流れます。ご注意ください

簡単操作ゆえに、小学生でも簡単に理解でき、参加者は皆すぐに操作に慣れていたようだ。体験した子供たちに感想を聞いてみた。

「画面を見ながら操縦していると、本当に自分が水中を探検しているようで楽しかったです」(ゆうと君)

「操作はすぐに覚えられたけど、水中は全部同じ景色で、自分がどの方向を向いているのかわかりにくかった」(ひよりちゃん)

海の生物が大好きという、ゆうと君。「本物のROVで、魚の群れが泳いでいるところを見てみたいです」

夏休みの自由研究のテーマを探しに来たという、ひよりちゃん

そうなのだ。たかだか10cm~20cm程度の水深しかない水槽でさえ、ROVのカメラからの映像では、方向も深度もわからなくなってしまう。薄暗く、海流の影響も受ける実際の海では、なおのことだ。

老若男女問わず、多くの方々が参加。皆、海洋調査・研究の世界をより身近に感じることができたようだ