国道439号沿いにある道の駅「土佐さめうら」は、平成10年(1998)に高知県内で11番目の道の駅としてオープンし、高知の新鮮な山の幸や特産品をリーズナブルに購入できると、バイクのツーリングライダーを中心に人気のスポットとなっている。そんな道の駅「土佐さめうら」に併設された「田舎料理 与作」に、ライダーが密かにリピートで通う人気メニューがあると聞いて早速食べに行ってみた。

道の駅「土佐さめうら」内の「田舎料理 与作」には、ライダーたちを魅了するあるメニューが!

和肉の中でも超希少な「嶺北牛」との出会い

店に到着して席に着き、メニューを見ると、さりげなく「嶺北牛」の名前が付いたメニューがいくつかあることに気づく。店員のおばちゃんに聞くと、ツーリングライダーがわざわざ食べに来るのは、この嶺北牛のメニューらしい。そこで、圧倒的一番人気という「嶺北牛牛丼」(税込885円)を注文することに。

牛丼が届くまでに、嶺北牛について話を聞いてみると、嶺北牛は超希少な和肉牛とのこと。褐色の体色に対し、目の周囲、鼻、蹄等が黒い特徴を持つ「毛分け」と称する毛色が一般的で、ブランドを守るために厳しい選別基準が設けられているそう。土佐育ちで褐色の体色から「土佐あかうし」とも呼ばれている。

その希少さを数字で見ると、嶺北牛の飼育頭数はわずか2,700頭ほど(出典: 高知県土佐和牛ブランド推進協議会)。地元高知県内でも手に入りにくく、しかも生産者が減少傾向という、和肉牛の中でも超希少な肉牛なのだ。

嶺北牛肉の柔らかさと秘伝の絶品タレがベストマッチ

牛の話をしていると嶺北牛牛丼が到着! 牛丼には味噌汁と漬物がセットとなっており、器いっぱいに柔らかそうな牛肉が敷き詰められていた。肉質の柔らかさがその見た目からも十分想像できる。トッピングはネギ、刻み海苔、紅しょうがと至ってシンプル。聞くと、やはり主役の牛肉のおいしさを邪魔しないように、トッピングも極力シンプルにしたそう。

超希少な嶺北牛がたっぷり盛られた「嶺北牛牛丼」(税込885円)

まずは牛肉だけいただく。やや甘めのタレで煮込まれた牛肉は、やはり見た目の想像通りの柔らかさ! 肉が柔らかくてすぐに口の中から消えていくので、甘さがしつこく感じない。このタレについて聞くと、おばちゃんは笑顔で「この中身は秘密やき」との返事。このメニューを提供し始めた10年以上前から続く秘伝のレシピだそう。

おいしい水由来の牛肉と米は相性もいい

薬味やご飯と一緒に食べると、タレや牛肉がご飯とも馴染み、さらにまろやかな味わいに。この絶妙の馴染み具合には理由がある。実は、地元の嶺北米を育てた生産者から直接買い付けて使用しているのだ。「この周辺は、酒造りも行われるほど水がおいしい地域なの。そんなおいしい水で育った米を、育った水で炊いたご飯と、同じ水で育った牛の肉を使ってるから、絶対合うし、おいしいに決まっとるよ(笑)」と笑顔でおばちゃんが教えてくれた。

料理到着時は量が多いと感じるが、食べ始めると止まらない。一気に完食。これもあっさり食べ飽きないように味付けされたタレのおかげだろう。恐るべし、おばちゃん秘伝のタレ……。

与作の店内。外観・内観ともに木の温もりを感じる

他の嶺北牛メニューについても話を聞くと、「嶺北牛肉うどん」730円(税込)や嶺北牛肉を使った「与作コロッケ」100円(税込)といった嶺北牛を使ったメニューはどれも人気だそう。特にコロッケは、ほんのりした甘さがおふくろの味を彷彿とさせ、時には品切れになるほどの人気。

わざわざライダーが嶺北牛を食べるために、遠回りしてでも立ち寄るという「田舎料理 与作」。高速道路を使えば高知市内から約1時間。高知を旅行する際はぜひ立ち寄り、希少な嶺北牛を存分に堪能してほしい。

●information
田舎料理 与作
高知県土佐郡土佐町田井448-2 道の駅「土佐さめうら」内
営業時間: 9時~17時
定休日: 火曜(祝日の場合は翌日)

※記事中の情報は2016年5月取材時のもの

筆者プロフィール: 中 直照(なか なおてる)

大阪出身のコピーライター。出版社や中堅ゼネコンなどを経てフリーライターとして独立。その後、2011年にショートカプチーノ設立。コピーライターとして経営者インタビューや企業広報誌、店舗取材など、幅広く執筆。ほかにもホームページ用コンテンツの企画や制作などにも携わっている。