便利な名古屋メシスポットとして注目されているJR名古屋駅構内のレストランゾーン「名古屋うまいもん通り」。全部で30ある店舗の中でもとりわけ存在感を発揮している名古屋メシの人気店3軒をご紹介しよう。

新幹線改札に近いJR名古屋駅太閤口側にあり、遠来者も利用しやすい「名古屋うまいもん通り」

名古屋の玄関口に”名古屋メシ”が大集結!

旅行や出張で名古屋に来た人が最も期待するのが名古屋メシ。名古屋市が県外者を対象に行ったアンケート調査でも、名古屋に来て体験したいことの1位に「名古屋メシを食べること」がランクインするほどだ。みそ煮込みうどんや手羽先、ひつまぶしなど、独特かつ多彩なご当地食の数々は、この地域を訪れる人にとっての一番の楽しみであり、旅の目的にすらなっている。

そんな遠来の人にとって、便利な名古屋メシスポットとして人気を集めているのが、「名古屋うまいもん通り」だ。カフェからファストフード、ビアバーまで、早朝から最長で23時30分まで営業し(営業時間は店舗により異なる)、多様な客層・シーンに対応するバランスのよい店舗構成が特徴。とりわけ2015年12月に新設された太閤南・あおなみ線改札口の南側エリアは、新幹線改札口からすぐという立地のよさもあり、旅行者・出張族から好評を博している。

激辛! 台湾ラーメンの「味仙」は新作・台湾丼も

中でもまず訪れてほしいのが、「味仙」。名物の台湾ラーメンは、赤唐辛子、ニンニクを加えたひき肉を油でじっくり炒め煮した「台湾ミンチ」がどっさりとトッピングされている。激辛で一度食べたら忘れられないインパクトが特徴だ。同店は名古屋市内を中心に11店舗があるが、実は親戚同士でのれん分けされ経営は別々で、台湾ラーメンの調理法も微妙に異なる。ここはルーツである本店の系列で、まさに元祖の味を味わえるのだ(他、中部国際空港店、大名古屋ビルヂング店が同系列)。

名古屋メシの中でもヤミツキ度は群を抜く台湾ラーメン810円。手羽先518円、青菜炒め810円も欠かせない定番メニュー

さらに同店では、本店にはない新作メニュー「味仙台湾丼」も食すことができる。「台湾ミンチ」をかけた丼ぶりの上に生卵を落としてのりをちらしてあるので、マイルドさと香りが加わり、ラーメンほど辛みがダイレクトに迫って来ない分、食べやすい。名古屋メシはいろいろな食材を加えていくものが多く(例えば、トンカツ+みそ=みそカツ、うなぎ+薬味+だし=ひつまぶし、トースト+バター+あんこ=小倉トーストなど)、この"名古屋メシ足し算の法則"がここでも活用されている。

オリジナルの味仙台湾丼918円

「味仙台湾丼」は2月にオープンした大名古屋ビルヂング店でも提供しているが、こちらはのりではなくネギをトッピングしている。両店を訪れ、台湾丼を食べ比べするのも面白いだろう。

王道のあんかけスパ「スパゲティハウス チャオ」

次にご紹介するのは、「スパゲティハウス チャオ」。名古屋市および愛知県内に9店を展開し(フードコート向けの「チャオニーノ」含む)、36年間、名古屋で愛され続けるあんかけスパゲティの専門店だ。

ミラカン・R(レギュラー・330g)830円。S(スナック・200g)760円、J(ジャンボ・480g)910円と食欲に合わせてボリュームをチョイスできる

自慢のあんかけソースは、たっぷりの野菜と牛肉をじっくり煮込み、寝かせて熟成させたもの。肉と野菜のうまみがひとつになり、まろやかで奥深いコクがある。ピリ辛感はあまり強くない親しみやすい味わいが、幅広い世代に受け入れられている人気の要因だ。あんかけスパ初体験の人が多いこの立地には、まさにうってつけと言える。一方で観光客だけでなく、周辺のオフィスワーカーのリピーターも多いのが、地元民に愛される人気店ならではだ。

ビジネスマン需要が多い場所柄、ちょい飲み向けのセットメニューがあったり、単品のトンカツはあんかけソースとみその2種類からチョイスできたり、お酒と合わせて、あるいはちょっと変わり種の味にチャレンジしたりと、幅広い楽しみ方ができるのも魅力だ。

あんかけスパは”オジさん世代”御用達の店が多いが、同店は女性客をはじめ幅広い世代に受け入れられている。

おもてなしが行き届いたひつまぶしの「まるや本店」

上ひつまぶし3,065円。うなぎ約1匹分を使って十分なボリュームがある。ミニひつまぶし2,035円や特上ひつまぶし(1~2人前)4,500円の選択肢も

名古屋メシの中でも貴重なごちそうグルメ、うなぎのひつまぶし。こちらも専門店の中では屈指の9店舗を出店する「まるや本店」が、名古屋駅構内に堂々出店している。うなぎのタレはたまりじょうゆベースの名古屋流。この地域のうなぎ屋としては甘みが強すぎず、万人ウケする味わいだ。

ひつまぶしといえば、1杯目はそのままでうなぎ本来の味わいを堪能し、2杯目は薬味をちらして香り豊かに、3杯目はダシをかけてさっぱりと、1品で3つの味を楽しめるのが醍醐味(だいごみ)。ここでは、2杯目の薬味と3杯目のダシの提供法に特徴がある。薬味は一般的なわさび、あさつき、のりに大葉が加わり、のりは鮮度を重視してパック入りが出てくる。ダシはお茶漬けにするタイミングに合わせて熱々を持ってきてくれる。ベストの風味と温度で食べてもらいたい、という気配りがうれしい。

また、この店舗だけで食べられる「塩だれひつまぶし」なる1品も。7種の薬味で香りの変化を楽しめる1日10食限定のメニューは、リピーターならずとも一度お試しいただきたい。


和洋中の名古屋メシが競演する「名古屋うまいもん通り」。使い勝手がよい上にここでしか食べられないメニューもあり、他地方の人はもちろんだが、地元の名古屋メシファンも素通りできないスポットと言える。

●information
名古屋うまいもん通り
住所: 名古屋市中村区名駅1-1-4 JR名古屋駅構内
・味仙
11:00~23:00(ラストオーダー22:30)、無休
・スパゲティハウス チャオ
11:00~23:00(ラストオーダー22:30)、無休
・まるや本店
11:00~23:00(ラストオーダー22:00)、無休

※記事中の情報・価格は2016年3月取材時のもの。価格は税込

筆者プロフィール: 大竹敏之(おおたけとしゆき)

名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなど幅広い媒体で名古屋情報を発信。Webガイドサイト「オールアバウト」では名古屋ガイドを務める。名古屋メシ関連の著作を数多く出版。『名古屋の喫茶店』『名古屋の居酒屋』『名古屋メン』『続・名古屋の喫茶店』(リベラル社)は自腹リサーチをコンセプトにしてご当地ロングセラーに。10月上旬にはご当地グルメコミックエッセイ『まんぷく名古屋』(KADOKAWA、森下えみこ著)に案内人として登場。