【レポート】

人がほとんどいないオフィス……でもしっかり業務中 - レノボ関連グループ4社が合同で「テレワークデイ」を実施

 

レノボ・ジャパンは4日、同社の関連会社3社と合同で、秋葉原オフィスにいる従業員を対象とした「テレワークデイ」を実施。その様子を報道陣向けに公開した。

「テレワークデイ」は、「全社テレワーク」が可能な体制の確立を目指すとともに、その経験を産業界に提案することを目的とした実施するもので、レノボ・ジャパンに加え、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ、NECパーソナルコンピュータ、モトローラ・モビリティ・ジャパンの4社が参加した。

テレワーク浸透に向けた取り組み

レノボ・ジャパンで"ワークスタイル変革プロジェクト"を担当する村上武士氏

レノボ・ジャパンでは、同社が設立した2005年からすでにテレワークが可能なシステムを構築。2011年3月の東日本大震災でもテレワークが推奨されたが、インフラ面や社内ルールが十分に整備されていない部分があったことに加え、そもそもテレワークをするという意識が醸成されていなかったなどの理由から利用率は3割程度にとどまっていた。

2014年の本社移転を期に固定電話にLync(現Skype for Business)を採用し、PCを使って電話の発信や着信が可能とした。また、2015年12月からテレワークの推進に向けて、秋葉原オフィスの従業員を対象に、テレワークによる効果や課題の洗い出しを行うパイロット運用を開始した。

レノボグループのテレワークへの取り組み

パイロット運用では、1週間のうちにテレワークできる上限日数を定めていたが、これを撤廃し、回数無制限とした。また、外部からアドバイザーを招き、テレワークを導入している他社の事例や、育児・介護で今後ますますテレワークの重要性が増すことなどを学ぶことで、テレワークに関する文化の醸成を図った。なお、パイロット運用の開始にあたって、インフラ面ではすでに導入している仕組みを利用したため、追加の投資は発生していないとのことだ。

パイロット運用ではインフラ面は変更なし、制度面でグループ各社でばらつきがあったテレワークの回数制限を撤廃。文化面ではテレワークを使いやすい意識の醸成を目指した

この結果、それまで34%だった利用率が88%まで向上。また、48%がパイロット運用を始める前と後で、生産性が上がったと実感。ワークライフバランスについても78%が向上したと答えている。

テレワークの利用率が大きく向上

生産性やワークライフバランスの向上にも寄与しているという

具体的には「資料作成に集中できる」や「通勤ストレスの解消ができた」「休暇を利用しなくても介護/育児/通院/荷物の受け取りができた」とのメリットが挙げられた。レノボ・ジャパンで"ワークスタイル変革プロジェクト"を担当する村上武士氏も「レノボ・ジャパン設立当初からいるが、そのころはテレワークを取るという考えがまったくなかったが、実際にテレワークをしてみると、家族と一緒に食事を取れたり、子どもとすごす時間がふえたりと、ワークライフバランスが上がった」という。

このほかにも「"小1の壁"(子どもが保育園から小学校に上がったときに、学童保育が延長保育に対応していなかったり、PTAや保護者会などで時間を取られてしまうといった課題)に直面したときにこの制度があったら」という声や「妊娠中の配偶者のそばにいられるため安心して仕事ができる」といった感想も紹介された。

ユーザー側から寄せられたテレワークのメリットと課題

一方で、マルチディスプレイなどオフィスの方が働きやすい環境が整っている、あるいは紙による承認フローが残っているので、出社しなけければならないというケースや、退勤という仕事のやめ時がなく、むしろ業務時間が増えた、資料と声だけでやり取りするオンライン会議で話が伝わりにくい、テレワークに消極的な人がいてとりにくいといった課題も見つかった。「特に文化の醸成や意識を変えるといった部分は、すぐに対応するのが難しいと感じているが、繰り返し意識喚起を続けていく」(村上氏)とした。

また、テレワークによって部門の生産性が下がったと答えたマネージャはわずか4%にとどまったが、顔を合わせて指示した方がわかりやすい、あるいは顔が見えないので、部下の体調が悪いときやモチベーションの把握が難しいといった見えないからこその難しさや、テレワークの頻度が増えたときにマネジメントできるか不安といった声が寄せられた。このほか、Skype for Businessの立ち上げを忘れる、または立ち上げが遅れて連絡がすぐに取れないケースもあったという。

マネジメント側からのコメント。こうしたコメント受けてガイドラインの整備などを続けていくという

「パイロット運用では、生産性については大きな問題もなく、トラブルも発生しなかった。ただし、テレワークを前提としたルールの整備や社員の意識・行動変革が必要なところもあり、今後も取り組みを進めたい」と村上氏。レノボではパイロット運用の結果をもとにガイドラインなどを整理して、4月からの正式導入を予定している。

実際のテレワーク業務に当たっては、会社支給PCからVPNで、社内サイトやチャット、メール会議システムといった社内システムにアクセスする。通信は暗号化され、不正アクセスが発生した際に追跡するため、すべてのアクセスログを取得する。

システムについて説明した皆川達哉氏。今日は山形県米沢市のNECパーソナルコンピュータ 米沢事業場にいるということで、まさにテレワークで使う会議システムを使って紹介した

テレワークシステムの概要。基本的には会社支給PCを用いて行うが、個人所有のPCからブラウザ経由でメールはメールは見ることができるほか、スマートフォンにSkype for Businessをインストールして、電話会議ということも可能だという

システムについて説明した皆川達哉氏によると、テレワークのシステムは、数万人のアクセスに耐えるスケーラビリティ、Quality of Service(QoS)による高い通話品質、セキュリティといった特徴を備えるという。

さて、「テレワークデイ」はこれまでのテレワーク推進の取り組みをさらに推し進めたもので、電話業務が中心となるインサイドセールス部門とコールセンターのメンバーを除く、秋葉原オフィスに勤務する正社員と派遣社員が対象となる。今回は全社員580人のうち、84%に当たる社員がテレワークで業務を行う(対象外の部門を除くと97%の参加率)。

実際にオフィス内を見学したところ、ほとんど人がいない。「いつもは常にうまっている」という会議室も数カ所を除き、使われていなかった。それでいながら、業務自体はいつもと変わらずに行われているという不思議な感覚だった。

常に会議の予約でうまっているという会議室も今日はほとんど人がいない

簡単な打ち合わせなども可能なリフレッシュスペースも静か

オフィスにもほとんど人がいないが、業務自体はいつもと変わらずに行われている

身近な環境を変えることで、発想の変化につなげる

レノボ・ジャパン 代表取締役社長 留目真伸氏

「テレワークデイ」の実施にあたり、レノボ・ジャパン 代表取締役社長 留目真伸氏は、「テレワークの推進は、"未来型企業"へ変革するための1つ」という。留目はこのところ、さまざまなイベントで"未来型企業"についてコメントしている。それは、1つの会社の中にとどまるのではなく、さまざまな企業に加えてエンドユーザーとも協力しながら、新しいビジネスやワークスタイルを「共創」していくというものだ。

NECレノボ・ジャパングループでは、あらゆるユーザーが常にコンピューティングパワーによってサポートされ、活動できるようなデジタルライフの実現を目指して「共創プロジェクト」を発足し、取り組みを進めている(「共創プロジェクト」については、レノボ・ジャパン設立10周年記念事業説明会のレポートを参照してほしい)。その一環として、ライフスタイルやワークスタイルの変革を目的とする「D3プロジェクト」を推進している。

留目氏は「現状を変えていくためには、自分たちが持つ既存の考え方や発想の仕方を変えていく必要がある。社内だけで完結するのではなく、社外も含めてさまざまな人とディスカッションすることで、新しい発想の種を得ることが重要だ」としたうえで、「テレワークによって、時間の使い方を変えたり、オフィス以外の場所で仕事をするといった形で、自分の身近な環境を変えることでも、発想の変化につなげてほしい」という。

また、ほかの先進国と比べて日本では、長時間労働をはじめとする労働環境の整備が遅れている傾向にも触れ、「まもなく団塊ジュニア世代が親の介護という問題に直面する。これに対応していくのが喫緊の課題となる。フレキブルな働き方を実現していかなくてはいけないタイミングだ。また、事業継続という点から見ても、例えば災害が起きたときにオペレーションをどう継続していくか。テレワークが解決策の1つになる。テレワークに必要な技術はとりたて新しいものではないが、いまあるものをしっかりと活用して、その効果を自分たちでも実感するのが、こうしたソリューションを提供する会社として重要だと考えている」と結んだ。

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