「東京都『ネットいじめ』低年齢化が進行 - 行政がとらえた現状とは」と題した前編では、低年齢化が進むネットいじめの現状とその特徴を、行政の見方と専門家の解説を紹介する形でお伝えした。それでは、なぜ低年齢化が進んでいるのか。後編となる今回は、その背景と、親ができる予防・早期発見法について専門家に聞いた。
小学生のネットに接する機会が増加
文部科学省が全国の国公立、私立の小中高特別支援学校を対象に行った調査で、平成26年度の認知件数が過去最多の18万8,057件に達したいじめの数。小学校でも12万件を超え、同様に過去最多の結果となった。
このうち東京都では、公立小学校でのネットいじめの件数が前年度の1.3倍に増加。都が独自に行った調査では、自分のスマートフォンを使用している小学6年生は24.8%。さらに、タブレットでは小学4年生~小学6年生でそれぞれ36.7%と使用率が高く、「小学生でも、インターネットに接する機会が増えている」と分析している。
親による機器の設定と話し合いが大切
子どものネットいじめに詳しいITジャーナリストの高橋暁子氏は、低年齢化が進む背景として、スマートフォン以外の「ネットに接続できる機器」を小学生が多く持っていることをあげた。「ニンテンドーDS」や「Wii」などのゲーム機、教育用に配布されるタブレットなどを使えば簡単にネット接続できるほか、中にはSNSのアプリをダウンロードできるものもあるという。「家のWi-FiのIDやパスワードを見破って子どもがネットを利用していたというケースも聞いている。無線LANスポットがあれば機器の設定次第で街中でもネットに接続できる」と警鐘を鳴らした。
それでは、どうしたらネット上のいじめを防いだり、早期に発見したりすることができるのか。まず基本となるのは「フィルタリング機能」などを使ってインターネットの利用制限をかけることだ。設定次第で利用時間や閲覧できるウェブページを制限することができる。加えて、どんな利用をしているか、子どもと話し合う機会を持つことも大切だという。「友達とどんな話をしているの? 」などの会話を普段からしておくことで、異変がわかりやすくなるという。最近では、LINE上でトラブルや犯罪につながるキーワードが検知されると、親のスマートフォンやメールに連絡が届くアプリも登場。子どもへの許可をとったうえで、利用してみてもいいのかもしれない。
最後に「ネットいじめはリアルいじめとつながっている。『学校に行きたくない』といった発言や、顔色が悪いといった現象を見逃さないことが大切」と語った高橋氏。どんな態様のいじめについても、日頃から子どもの様子を見守り、話し合いを持っておくことが大事といえるだろう。
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