生命保険に加入するときには、告知や医師の診査などでそれまでの病歴や現在の健康状態を正しく申告する必要があります。そのため、すでに持病がある人の場合は新たに保険に入るときに、加入を断られるケースもあります。ただし、病気になったらまったく保険に入れなくなるわけではありません。病歴や現在の健康状態などによっては、条件付で加入できる保険、慢性病を持っている人や大病を患ったことのある人でも加入できる保険などもあるので、あきらめずにいろいろと探してみましょう。

持病があっても保険に入りたい。どうすればいい?

生命保険は加入するときに健康状態を告知しなければならないため、手術をした人やがんなどの深刻な病気を患ったことのある人、糖尿病など慢性疾患を抱えている人などは加入できない場合があります。ですから健康な若いうちに将来必要となる保障の分まで加入しておくことが大切なのですが、そうは言ってもすべての人が万全に将来のリスクに備えているわけではありません。また、状況の変化により新たな保障が必要なケースもあります。

いざ保障が必要となったときに、すでに健康を害していると希望通りの保険に加入するのが難しくなります。ただ、そうした人がすべて保険に加入できないわけではありません。また、既往症や慢性病がある人でも加入できる保険というのもあるので、1つ断られたからといってあきらめてしまわず、そのような保険の中から自分に適した保険に加入することが大事です。

病気があっても入りやすい保険、難しい保険

死亡保障の保険や医療保障の保険などに加入するときに行う告知義務は、保険に加入する人の誰もが保険金を受け取る確率が不公平にならないように考えられたものです。すでに病気をしている人のほうが病気で入院する確率が高いわけですから、そのような人と健康な人が同じ条件で保険に入れたら、健康な人のほうが不利益が大きくなるからです。

それでもかかった病気の種類や時期、合併症の有無、現在の健康状態などによっては、一般の保険に加入できるケースもあります。その場合は、加入後一定期間は保険料が削減されたり、既往症以外の病気の保障に限られる、保険料が通常よりも割り増しになるなど条件がつけられるのが普通です。

条件付でも加入を断られるようなケースでは、通常の保険商品よりもゆるい条件で加入できる保険を検討します。限定告知型や引受基準緩和型などといわれる保険がそれにあたります。

これらの保険は、一般の保険よりも簡単な告知だけで加入できるので、病歴や健康状態に不安があっても告知内容に問題がない状態なら加入できます。ただし、一般の保険よりも保険金額の上限が低かったり、既往症の再発などは保障されないなど、保障内容は一般の保険に比べて充実度は下がります。

さらに加入条件がゆるい無選択型の保険は、告知の必要もなく、誰でも加入できます。その代わり保障の上限がかなり低く、それに対する保険料は割高です。保険料が高くてもどうしても保障が必要という人以外はメリットは少ないといえます。

上手な保険の加入方法は?

保障内容の充実度と保険料負担の両面から考えた場合、もっとも保障が充実して保険料が安いのが一般の保険です。たとえ条件付になったとしても加入できるなら第一候補として検討したいもの。診査基準は保険会社によって異なるので、1社に断られたとしてもあきらめずに複数社に申し込んでみることが大事です。

それがだめなら告知診査が簡単な保険を検討します。一般の保険への加入条件があまりにもキビシイ場合は、こちらの保険のほうが条件が良い場合もあるので、比較検討して有利な条件のほうを選ぶといいでしょう。

無選択型の保険は、これらの保険に加入できなかった人が検討してください。その場合でも保障内容と保険料負担のバランスをよく考えてから慎重に加入することが必要です。高い保険料を払い続けるよりも、その分を貯蓄に回したほうがいいケースもあるので、よく見極めることが大事です。

<著者プロフィール>

ファイナンシャルプランナー 堀内玲子

証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て1993年に独立。1996年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。