急な坂が続くセントラルエリア。でも香港らしいみどころがぎっしり

1997年まで香港が英国の自治領だったことをご存じの方も多いだろう。約100年以上に渡る長い英国統治を経て、香港は中国本土と一線を画す独特の文化を築いてきた。中国に返還されて早15年超、しかし今もって香港には英国らしさが垣間見える。

一瞬迷う「Where am I? 」

香港が英国領となったのは1843年のこと。1997年に中国に返還されるまで実に100年以上もの間香港は英国の支配下にあり、建築や文化などを受け入れ融合し発展してきた。返還後の今もその名残があり、香港ならではのユニークな見どころとして観光地化している。 返還後の"香港らしい"風景が広がるのは、中環(セントラル)エリアだろう。静かな散歩道があったかと思えばにぎやかなマーケットもあり、同じエリアでありながらめまぐるしく雰囲気が変わるのがおもしろく、用がなくてもふらりと立ち寄りたくなる。

特にMRT中環駅近くから山の手の高級マンション地区まで延びるヒルサイド・エスカレーター付近は、香港らしい昔ながらのお店があったかと思えば、まるで英国! なパブやレストランがあったりする、楽しい英中折衷エリアだ。

ロンドンから一気に香港に引き戻してくれる、中環エリアの古~い手作り醤油屋さん。こういうコントラストが香港っぽい

その中でも、おしゃれエリア「SOHO」は欧米人が多く住む高級マンション地区に近いせいか、道行く人は欧米人が多い。SOHOはナイトライフのメッカともなっており、夜にもなれば通りにあふれるほど、欧米人とトレンドセッターな香港人でにぎわう。このSOHOへは、中環駅から徒歩約5分のところにある全長約800mの「ヒルサイドエスカレーター」が便利だ。

午前中の「SOHO」は人もまばら。ロンドンのSOHOもナイトスポットなのでこんな感じかも

まるで電車に乗っているかのように、エスカレーターの外の景色を眺めながら移動するのが楽しい

すれ違う人が欧米人ばかりで看板も英語で書かれたものが多いため、ロンドンの地下鉄のサインを模した看板を掲げている店の前で一瞬、「あれ、今どこにいるんだっけ? 」と立ち止まって辺りを改めて見渡してしまう。近くには英国の高級スーパー「Marks and Spencer」もあり、ますます英国風である。

「Marks&Spencer」で売られていた中華のレトルト。英国製ゆえべらぼーに高い。売れるのかちょっと心配にもなる……

英国"コロニアル風"な商業施設も

さらに、返還前の"コロニアル風"な香港が垣間見えるのが、英国統治時代に建てられ既婚警官用の宿舎をリノベーションした商業施設「PMQ」だ。PMQはモダンな印象で、入居するのは香港デザイナーなどの若者向けショップが多い。地元の人も多く、オリジナリティあふれるデザインの新人デザイナーの作品なども購入可能だ。郵便受けなどそこここにレトロ感がただようが、全体的には現代の建物という雰囲気である。

「PMQ」は今やおしゃれな商業施設に転身!

なお、同様のヘリテージビルとして、尖沙咀(チムサーチョイ)エリアには港湾事務所をリノベーションした「1881ヘリテージ」もある。1881ヘリテージはこの建物を事務所にしていたのか、と思わずあきれてしまいそうなほど豪奢な建物で、入居するのも高級なショップが多くどちらかというと観光客が多い。

「1881ヘリテージ」の廊下。このレトロな雰囲気は出そうと思ってできるものではない

内部の廊下やパティオなどは当時の雰囲気がかなり残っており、レトロモダン好きにはたまらない魅力がある。香港ではこうした古い建造物をモダンな商業施設として生まれ変わらせる動きが盛んで、以前紹介したかつての質屋を改装したレストラン「The Pawn」もそのひとつ。英国情緒があってこその香港、なのである。

ダブルデッカーと「The Pawn」が入居したヘリテージなビル。これぞ香港!

※記事中の情報は2015年8月取材時のもの