リアルタイムで温度を検知

IHクッキングヒーター向けに開発した光火力センサーは、他社が採用している汎用センサー(サーミスタ)のように、鍋底以外からの赤外線は感知せず、正確な検知ができる。短時間かつ高精度で温度を検知するため、安定した火力を維持でき、加熱しすぎを自動制御するのが特徴だ。

「かつては、ガラスに伝わってくる鍋底温度を検知する仕組みであったが、鍋底が反っていると温度が正確に測れないという課題があった。さらに、鍋底の温度をリアルタイムで検知するのではなく、ガラスを通じて追随して検知するために、コントロールに遅れが出てしまうことも。鍋底が300℃になったら加熱をやめるという制御も、センサーがそのタイミングで正しく検知していないので、結果として調理性能、安全性に問題が発生していた。

【左】光火力センサー。IHクッキングヒーター向け専用に開発したセンサーで、鍋底からの赤外線のみを検知。加熱しすぎを自動制御する。【右】左がパナソニックのIHクッキングヒーターで焼いたもの。パンケーキを何枚焼いても同じ色で焼けるのはパナソニックの特徴

中が焼けていない、カラっと揚がらないといった問題は、このように温度センサーに原因があった。パナソニックが開発した光火力センサーは、鍋底に赤外線を発生させ、その発生量を検知するといった方式で、瞬時に温度を検知できる。パンケーキを何枚焼いても同じ色に焼けるのはパナソニックならではの特徴。温度を短時間かつしっかりと計測できているために実現できるとする。

光火力センサーは海外において、「Panasonic Genius IR Sensor」の名称で展開。イベントなどでも高い関心を集めているという。

そのほか、ラクッキンググリルでは、下ヒーターをガラス下に収納し、上ヒーターをミラクロンヒーターへと変更。焼き網をなくし、グリル皿に変更したことで、業界ナンバーワンの高さを持つ庫内フラット構成を実現し、庫内の手入れもしやすくなった。

パナソニックのIHクッキングヒーターは、用途にあわせて多品種でのラインアップをしているのが特徴で、神戸工場では528品番を生産。現在、85%がBtoBルートであり、残りの15%が家電量販店。7割の製品が、3日以内での納品を求められている。「新築住宅やマンションの施工に対応するため、顧客の要望にあわせた製品を1台単位で即納する対応力を持っている」(担当者)という。ちなみに、28品番で全出荷量の70%を占めているそうだ。

【左】欧州市場向けの製品。【右】アジア市場向けの製品