海外のIT系ニュースサイト「Nokia Power User」は、Microsoftが10月19日にLumiaシリーズの新作を明らかにするという記事を掲載した。Windows 10 Mobileを搭載するスマートフォンとして、Microsoftがフラグシップモデルをリリースするのは既定路線と言えるだろう。

Evan Blass氏がリークしたLumia 950/950XLと思われる画像。撮影方法からしてプレス用写真と思われる

ニュースサイトによって、その名称を「Lumia 940」とするか、「Lumia 950」とするか意見が分かれているが、本稿ではLumia 950の名称で統一する。なお、開発コード名は「Talkman(950)」「Cityman(950XL)」のまま、2機種のラインナップに変更はない。

漏れ聞こえてくるLumia 950/950XLのスペックをまとめると、5.2/5.7インチの有機ELディスプレイを採用し、解像度は2,560×1,440ドット。SoCはSnapdragon 808/810を搭載する。両機ともとも3GBのメモリと32GBのストレージ、脱着可能な3000mAhクラスのバッテリを備える。海外のフリージャーナリストであるEvan Blass氏が8月末にツイートした写真を見る限り、背面カメラは凸状に飛び出すようだ。

さて、Lumia 950/950XLもさることながら、個人的に気になるのは「Surface Phone(仮)」の存在だ。Microsoftは2014年の時点で、7インチクラスのタブレット「Surface mini(仮)」を開発していたようだが、フタを開けてみればWindows 10がローンチしてもデバイスが登場するような気配はみじんも感じられない。それだけならタブレット市場が飽和状態になりつつあるため、スケジュールをキャンセルしたのだろうと想像できる。

だが、これだけ認知された「Surface」というブランドを2-in-1 PCにとどめる理由はない。何度となく述べているように、Windows 10 Mobileはクラウド経由の連係や同じ操作性など、個人はもちろんビジネスユーザーにも使い勝手のよいスマートフォン向けOSとなるはずである。MVNOの普及と相まって、文字どおり「どこでもデータを共有」できる環境に一歩近づくだろう。

そこで問題となるのが「Lumia」の存在だ。Nokiaのスマートフォンブランドとして、お膝元である北欧での認知度は高いが、国内未発売のせいか日本においては今一つ。前述した「Surface」ブランドの方が十分な存在感を持っているだろう。

関係者は、日本国内の展開について2015年8月時点で話せる内容は何もないと言う。日本マイクロソフトが公言しているように、今は下地を固めつつ、Windows 10 Mobileローンチ時に何らかの対応を図るのだろう。現時点で日本マイクロソフト代表取締役社長の平野拓也氏はLumiaの日本市場投入を否定しているが、Windows 10とWindows 10 Mobileの存在や、ビジネス市場におけるWindowsのシェアを踏まえると何らかの形で国内展開にチャレンジする可能性は高い。そこで出てくるのが前述のSurface Phone(仮)である。

マウスコンピューターの「MADOSMA」。Windows Phone 8.1を搭載している

日本マイクロソフトはDIS(ダイワボウ情報システム)と協業し、ビジネス向けWindowsスマートフォン市場の拡充を狙っている。DISはMADOSMAをはじめとするWindowsスマートフォンの法人販売を開始した

2015年10月に米国で開催される発表会では、Lumia 950/950XL以外にもSurface Pro 4(仮)の登場に期待が集まっている。こちらは開発コード名「Skylake」こと第6世代Intel Coreプロセッサのモバイル版のリリース時期と重なるため、容易に想像がつくだろう。海外ベースだが、2013年2月に初代Surface Pro、同年10月にSurface Pro 2、2014年6月にSurface Pro 3をリリースしてきた。Windows 10リリース後であることを踏まえれば、今年Surface Pro 4をローンチするのは妥当な線と言える。

冒頭で紹介したLumia 950/950XLのプレス向け画像の流出や、Surface miniのキャンセルといった事象を踏まえると、今回の発表会でMicrosoftがSurface Phone(仮)を何らかの形で発表する可能性は皆無に等しい。だが、平野氏の発言や今後も同社の主力デバイスとなるであろうSurfaceシリーズの存在を目にする度にSurface Phone(仮)の存在を否定できないのだ。

Windows 10 Mobileローンチの暁には技適マークを取ったデバイスを購入し、Windows 10との連係をあらゆる角度から検証するつもりだが、普段使いのスマートフォンとして日本マイクロソフトがリリースするフラグシップモデルに期待を寄せるのは筆者だけではないだろう。現時点で国内市場に対するアプローチは法人向けが中心となっているが、そこで今以上のシェアを確保すれば、コンシューマー向けWindows 10スマートフォンの可能性もさらに高まるはずだ。

阿久津良和(Cactus)