旅慣れた出張族から「ホテル予約がとれない! 」という声をよく聞く。また、高稼働により客室料金も上昇、普段なら8,000円のホテルが1万5,000円や2万円にまで上昇し予算が合わない、と困惑する声も多い。そうした声は東京都を中心とした都市部のホテルに多い傾向がある。そこで今回、そんなホテル難民時代のホテルの選び方・予約の裏技を紹介しよう。

訪日外国人の増加で、東京都内のホテルは予約がとれにくい状況になっている

「ホテル難民」の要因はインバウンド需要

ホテル予約がとれないということは、ホテル需要が高まっている証拠である。もちろん数値にもあらわれている。都市部や人気観光地にあるホテルの客室高稼働が顕著だ。観光庁の統計によると、2015年1月~3月期のビジネスホテルの稼働率は、東京都86.0%、大阪府84.2%と、統計をとりはじめた2009年以降で過去最高を記録し、特に京都府のホテル稼働率は86.1%と東京都や大阪府をも上回っている。

要因としては、訪日外国人の増加が挙げられる。訪日外国人の統計を見ると、2014年は過去最多の約1,341万人が日本を訪れ、外国人延べ宿泊者数は約4,482万人と前年から33.8%増えた。これは、円安やビザ発給の要件緩和の効果もあったと言われているが、更に、今年1~3月を見ると前年同期比で38.8%の増加になっている。

出張族御用達のビジネスホテルは、安全で清潔、そして安価と外国人客にも大好評。自国へ帰ってからの口コミでさらに人気が上昇し、ホテル難民増加の一因にもなっている。とは言え、ちょっと目先を転じてみると意外にホテルが格安で見つかることもあるのだ。

外国人団体客の荷物があふれているホテルロビーを目にすることもある

マイナーサイトや自社サイトを狙え

まずは予約方法から考えてみよう。今日、宿泊先を探す際、OTA(Online Travel Agent)といわれる宿泊予約サイトの利用が一般的である。施設数の多い「楽天トラベル」、旅館にも強い「じゃらん」、高級施設なら「一休.com」など、旅の目的に応じてサイトを使い分けている人も多いのではないだろうか。

これらの有名宿泊予約サイトではすでに満室になっていても、ややマイナーな宿泊予約サイトなどを閲覧してみると、意外にも空室のあるホテルが表示されることがある。そうしたマイナーサイトを一つひとつチェックしていくのは大変なので、「フォートラベル」や「トラベルコちゃん」などの比較サイトを閲覧することをオススメしたい。サイト間の料金差やマイナーサイトも網羅していて参考になる。

また、ホテルの自社サイトにも注目。店舗数が多い大手ビジネスホテルチェーンなどのサイトを見ると扱う部屋数もかなり多く、直前になると空室が見つけられることがある。

ホテルへ取材すると、「高稼働の日などはギリギリになるとOTAから引き上げ、自社サイトでの販売に切り替えることもある」といった声や、「直前のキャンセルなども自社サイトへ反映されることがあるのでこまめにチェックしてほしい」という担当者もいる。また、OTAを通さないホテル自社サイトでの販売はOTAへ支払う手数料が不要になることもあり、自社サイトでベストレートギャランティー(最安値保証)をうたうチェーンも多いので注目だ。

朝食会場もファミリーや単身利用者など様々な層でにぎわっている

満室の日に「電話が最強」

OTA各社のサイトやホテル自社サイトで探してみたものの、どこも満室の時にはどうするか。筆者の経験からもオススメする方法は、ダメもとで「直接電話」をしてみることだ。キャンセルなどで空室が出た場合、ホテルのコンピューターシステムでサイトへ自動的に空室が出るケースもあるが、ホテルによってはサイトへ出さない場合もある。満室だからと諦める前に、一度試していただきたい。

とは言え、予約サイトであれば割引料金で案内していることもあるため、「直接電話をすると正規料金で案内されるのでは? 」などと心配する声もあるだろう。しかし、満室で予約困難な日に仮に予約サイトで空室があっても、正規料金もしくはそれに近い料金で掲載されるので、電話で案内される料金とさほど差はないと考えていい。

なお、連泊希望で1日目の予約はとれたが2日目の予約はとれず、現地で別のホテルを探すというような場合、1日目で到着した際にフロントへ「もし明日の空きが出たら教えてほしい」と伝えておくと、優先してキャンセルの空室を割り当ててもらえるケースもある。