Cerevoは18日、アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」に登場するアイテム「ドミネーター」を1/1スケールで再現したスマート・トイ「DOMINATOR MAXI」(開発コード名)を発表した。

合わせて、ハードウェアのスタートアップ拠点「DMM.make AKIBA」で、発表会を開催。ニッポン放送の吉田尚記アナウンサーが司会を務め、Cerevo代表取締役CEOの岩佐琢磨氏が詳細を紹介した。「DOMINATOR MAXI」開発中実機も披露された。

「DOMINATOR MAXI」を手にするニッポン放送の吉田尚記アナウンサー(左)とCerevo代表取締役CEOの岩佐琢磨氏(右)

「DOMINATOR MAXI」。なお、「DOMINATOR MAXI」の名称は開発コード名であり、実際の製品名は変わる可能性がある

Cerevo代表取締役CEOの岩佐琢磨氏によるデモンストレーション

劇中と同じ「完全自動変形」機構を実現

「DOMINATOR MAXI」開発イメージ

「DOMINATOR MAXI」は、アニメ「PSYCHO-PASS」に登場する特殊拳銃「ドミネーター」を1/1スケールで再現した製品。劇中のドミネーターは、対象者に向けることで犯罪者になる危険性を表した「犯罪係数」を測定でき、一定以上の数値が確認された場合は自動変形して対象者を執行(発砲)することができる。

今回発表された「DOMINATOR MAXI」は、無線LANでスマートフォンと連携するスマート・トイ。最大の特徴である自動変形機構に加え、音声再生、LED、タッチセンサーなどを内蔵し、「PSYCHO-PASS」の世界観を再現した。搭載機能はスマートフォンからリモートで操作できる。

変形機構は、基本モードの「パラライザー」から、執行モードの「エリミネーター」へ状態変化する。逆に「エリミネーター」から「パラライザー」への変形も可能。内部に2つのモーターを備え、変形時間は「設定資料の2秒間と、それより速いアニメ映像との中間」に調整。スムーズな可動を実現した。

基本モードの「パラライザー」

執行モードの「エリミネーター」

スマートフォンと無線LANで連携

変形時に再生される音声は、劇中と同じく、日髙のり子さんが担当。100種類以上の声を完全撮りおろしで収録し、グリップを握ったり、特定の人に向けたりする動作に応じて内蔵スピーカーから再生される。

先端にはカメラを内蔵し、スマートフォンと無線LAN接続することで、相手の犯罪係数を専用アプリ上に表示。犯罪係数に応じて自動でモード変形するほか、執行(発砲)しない場合は、トリガーをロックするというこだわりの仕様。犯罪係数はランダムで表示。カメラを使った写真・動画撮影も可能で、専用アプリに写真を表示し、劇中の世界観でデザインされたUIをオーバーレイした撮影や、本体で撮影した動画のストリーミング再生などが行える。

グリップ部分にはタッチセンサーを備え、グリップを握ることで効果音を再生できるほか、本来の持ち主でない不正ユーザーが手にした場合、音声によるメッセージとともに製品を利用できなくさせるという劇中設定も再現されている。

部品点数は約100点

外観は、サイコパス製作委員会による3Dデータを基に作成。しかし実物へ落とし込むにあたり、「実際にどんな金具でパーツをつなぐのか、部品の厚みは何ミリなのかなど、自社で考えていく部分が多数あった」(岩佐氏)。電気を通すには課題もあったというが、製品化への作業は「家電スタートアップ企業として楽しい部分」という。

重量は、現段階では約800g程度。部品点数は、基板を除き100点弱。表面素材は樹脂を採用し、一部金属も取り入れる。100個以上のフルカラーLEDも搭載し、通常・変形・執行のモードに合わせて発光状態が変化する。バッテリはグリップ部分に内蔵され、駆動時間は調整中だが、「撮影イベントで日中使える程度」をターゲットとする。

スクリーンから現実へ、「S2R」プロジェクト

司会のニッポン放送の吉田尚記アナウンサー(左)とCerevo代表取締役CEOの岩佐琢磨氏(右)。岩佐氏は「PSYCHO-PASS サイコパス」の登場人物、宜野座伸元をイメージした姿で登場した

「DOMINATOR MAXI」開発の背景として、Cerevoは自社で「S2R」というコンセプトを掲げている。これは「From screen to the real」の意味で、家電のテクノロジーを用い、アニメやゲーム、映画などの劇中アイテムを、可能な限り現実に再現させる取り組みとのこと。

代表取締役CEOの岩佐琢磨氏は、今回発表した「DOMINATOR MAXI」を皮切りに、「S2R」プロジェクトを今後継続的に進めていきたいと語った。なお、「DOMINATOR MAXI」の名称は開発コード名であり、実際の製品名は変わる可能性がある。

「S2R」の解説

家電スタートアップであるCerevoは、2015年1月に、センサー類を内蔵しスマートフォンと連携するスノーボード用バインディング「XON SNOW-1」を発表している。今回の「DOMINATOR MAXI」は、ネットワーク機能を持たないバインディングと家電技術を組み合わせた「XON SNOW-1」のように、玩具と家電技術をつなげるスマート・トイであるという。

「内部には基板やCPU、OSも搭載されており、構成はスマートフォンや家電などに近い。(トイとしては)オーバースペック気味であるとも思うが、この製品の登場によってトイ業界の動きも変わるだろう。今後出てくる第2第3の製品が自社の利益にもつながると考えている」(岩佐氏)。

スマホやネットにつながるオモチャを作ろうと、同社も入居しているDMM.make Akiba内の企業から話があり、開発に至った。開発にあたっては「実際に動くようにする」という基本的な部分が一番苦労したという。

発売は2015年度中。価格は未定だが、岩佐氏によると「個人が趣味で買える程度、少なくとも10万円以下にする」とのこと。

玩具にネットワーク機能を持たせる

発売は2015年度。限定数での提供ではなく、欲しい人が買えるような提供の仕方にする予定

今回発表された「DOMINATOR MAXI」開発中実機は、7月19日に恵比寿ザ・ガーデンホールで開催されるスペシャルイベント「【朗読劇】『PSYCHO-PASS サイコパス』-ALL STAR REAL ACT」の展示エリアで試作機が展示される。動作デモも確認できるとのことで、興味があるユーザーは足を運んでみると良いだろう。