満天の星空。もしかしたら、そんな空を見たことのない人は意外と多いのではないだろうか。それを都会にいながら体験できるのがプラネタリウムだ。しかし、最近のプラネタリウムは学術的な目的だけでなく、その場にいるような感覚を味わえたり、癒やしを与えてくれたりと、様々な趣向を凝らしているものもある。今回はそんな、深い楽しみ方のできるプラネタリウムを紹介しよう。
宇宙と地球、自然が奏でる"癒やし"
疲れを癒やしにプラネタリウムへ。そんな気持ちで訪れたいのが「コニカミノルタプラネタリウム"天空" in 東京スカイツリータウン」(墨田区)だ。東京屈指の観光スポットとなった東京スカイツリータウンと共に誕生したプラネタリウムで、時間別にテーマの異なった3種類が上映されている。その内のひとつが「ヒーリングプラネタリウム」。これはアロマの香りの中で映像を楽しむことができるというものだ。
6月15日までは、世界有数の美しい星空で知られるニュージーランドの町レイク・テカポの星空を映した「ニュージーランド 世界一の星空を求めて」、星空に加えてオーロラや流星群など地球の美しさを迫力の映像で体感できる「アースシンフォニー」、2種類のアロマと夜空の映像で、まるでハワイの休日をすごしているかのような「NIGHT RAINBOW」を上映している。
プラネタリウムで心が癒やされたら、隣接された「世界のビール博物館」でさらに至福の時間を楽しんでもいいだろう。
外国へ旅に出る前に星空の旅へ
最近の空港は単なる"飛行場"にとどまらず、ゆっくり楽しめる空間になっているものが多い。2010年に新国際線ターミナルがオープンした羽田空港もそのひとつ。しかも、ここには世界初の空港内プラネタリウム「PLANETARIUM Starry Cafe(プラネタリウム・スターリーカフェ)」(大田区)があるのだ。
カフェと併設しているため、ランチやコーヒー、もしくはカクテルを傾けながら星空を楽しめる。プラネタリウムの後には展望デッキで飛行機が夜空に吸い込まれていく様子を眺めてもいいだろう。フライトまでの待ち時間はもちろん、デートスポットとしても訪れてみたい場所だ。
バーでしっとり大人の星空間
扉を開けるとそこは星の世界。東京にはそんなバーが存在する。白金台にある「プラネタリウムBAR」(港区)だ。
小型高性能プラネタリム「MEGASTAR ZERO Platinum」を使用し、天井はもとより、店全体に星空が投影されている。映し出される星の数は500万個。人の目では見ることのできない星までも再現しているという。開店中は投影し続けているので、ワイン片手に心ゆくまで星を楽しむのもいいだろう。
プラネタリウムBarではレンタルスペースやプラネタリウムの星空出張も行っている。また、同系列の「プラネタリウム・エステ」では星空の下でエステを受けられる。こちらも同じ港区で浜松町駅・大門駅から徒歩3分となる。
定員22人! 完全予約制の寺プラネタリウム
星空を特別な空間で楽しみたい。そんな時には「プラネターリアム銀河座」(葛飾区)はいかがだろう。なんとここはお寺に併設されているプラネタリウムだ。
もちろん、館長は住職。しかも、声楽家でマジシャンでもあるという興味深い経歴の持ち主だ。プラネタリウムは第1、第3土曜日のみの投影で、定員22人の完全予約制。小規模ながら温かい色調の室内とゆったりした間隔で設置されたソファ席が特別感を醸し出している。自分時間を楽しみたい大人にぴったりなプラネタリウムである。
3Dで宇宙を体感
まさに手に取るような星空探検。それが、国立天文台三鷹キャンパスの「4D2Uドームシアター」(三鷹市)だ。4D2Uとは、Four-Dimensional Digital Universe(4次元デジタル宇宙)のことで、空間の3次元と時間1次元を合わせたもの。宇宙の進化や莫大な時間を自由に行き来する映像を楽しめる。それを専用のメガネをかけて3Dで鑑賞することになる。
国立天文台というだけあって、ここでは最新の天文学のデータをもとに映像化した宇宙を投影している。しかも鑑賞は無料。事前予約で定員になり次第締め切りなので、早めに申し込もう。
輝く星は宇宙の宝石。プラネタリウムを訪れた後は、あらためて夜空を見上げたくなるかもしれない。
筆者プロフィール: 木口 マリ
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。