お笑い芸人パンクブーブーの佐藤哲夫と黒瀬純、重盛さと美、水沢アリーらは22日、福岡市内で行なわれたテレビ番組「地熱王国“九州”を学ぼう~熱烈!地熱学園」の収録に参加し、九州地方の地熱について学んだ。

九州の地熱は日本一!

JOGMEC副理事長の黒木啓介氏

九州地方は、実は地熱資源に恵まれており、国内最大級クラスのものを含め、たくさんの地熱発電所を抱える地熱大国。そんな地熱をさらに盛り上げるため、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、九州の地熱に関心を持ってもらうためのTV番組公開収録イベントを実施した。

JOGMECは地熱だけでなく、石油や天然ガスを得るためのサポートや炭鉱の管理・保全など、エネルギーに関する援助などを行なっている。もちろん、九州における地熱に関しても、調査助成や債務保障の事業が数多く実施されている。

JOGMEC副理事長の黒木啓介氏は「九州は地熱大国だが、まだまだ開発の余地がある。正しく学んで、明るく楽しい授業になれば」と冒頭の挨拶で期待を寄せた。

同番組には、先生役にパンクブーブーの黒瀬、生徒役にはパンクブーブーの佐藤、重盛さと美、水沢アリー、ハリセンボンの箕輪はるか、10神アクターの松島勇之介、馬越琢己、関岡マークが出演。MCは福岡放送アナウンサーの山田真由美が務めた。

また、専門家の先生として九州大学大学院工学研究院教授で日本地熱学会会長の糸井龍一氏も登壇。1時間目『日本一、地熱がアツい九州』では、「地熱は再生可能なエネルギー。火山と密接に関係しており、火山がたくさんある九州には地熱エネルギーがたくさんある」と、九州にはまだ活用されていない地熱の力があると説明した。

だが、「地熱って、地元愛ってこと?」と話す重盛をはじめ、出演者のほとんどは地熱については詳しくない様子。そこで糸井氏は地熱エネルギーの利用方法として、アイスランドの実例を紹介。アイスランドは自然のエネルギーに恵まれ、国内電力の100%近くを再生可能エネルギーでまかない、地熱エネルギーも20%を賄っている。発電所より排出される湯はブルーラグーンと呼ばれる温浴施設に使用され、ブルーラグーンに沈殿する乳白色の泥は美肌の効果があるとして人気のスポットになっているという。

出演キャストらが九州の地熱について学ぶ

ところが、そんなアイスランドよりも、日本のほうが潜在的な地熱エネルギーの量は多いと糸井氏は語る。「日本の地熱エネルギーはアメリカ、インドネシアに次ぐ世界第3位。アイスランドは6位なんです。利用量としては、アイスランドが上ですが」と、日本は地熱エネルギーを活用し切れていないと指摘した。

地熱は昔から多彩に使われていた!

続いて、2時間目『地熱ってスゴイ 大分編』では、パンクブーブーのふたりが実際に大分に訪れた映像を見て、地熱の力が日常でどのように使われているのかがレポートされた。

実はパンクブーブー佐藤は大分出身。黒瀬を連れ、地元である大分の町を案内した。大分県・別府で、温泉の蒸気を利用して野菜や海鮮を蒸す「地獄蒸し」や、温泉の湯を使った暖房設備などが紹介された。

なかでも、別府温泉の有名ホテル「杉乃井ホテル」では、自社で地熱発電を用いた設備があり、ホテルの電力の4割が地熱によって得られているという。地熱発電の電力を使ったイルミネーションなども行なわれており、箕輪は映像を見て「イルミネーションまで、幅広く使えるんですね。(ステキな男性と)地熱ってきれいだね、とか言い合いたい」とうっとりしていた。

3時間目は『地熱ってスゴイ 九州編』と題し、大分以外でも地熱が大活躍していることを映像で紹介。地熱による蒸気のみで作るグラノーラなどの無添加食品(熊本県)や、海水と温泉を混ぜて地熱の温度で作る塩(長崎県)など、九州各地で地熱がいろいろな形で活用されていることが数々の事例で紹介された。

長崎県の塩づくりを体験した10神アクターの関岡は、出来上がった塩について「塩辛さのあとに、甘みがくる」と、その味わいの違いを感じていた。

地熱発電ってどんなもの?

4時間目『地熱発電って??』は、地熱を使った発電方法について。4時間目では特別講師としてJOGMEC特命参与(地熱担当)・地熱部部長の中島英史氏を招き、地熱発電の仕組みやメリットについて学んだ。

地熱発電は、火山のマグマだまりで温められた水蒸気を利用してタービンを回して電力を得るというのが基本的な形。観光スポットになっている大分県の八丁原地熱発電所などが代表的な発電所だ。

ロビーには地熱発電について説明するブースが設けられ、たくさんの人が訪れた

中島氏は「地熱発電は、地域に根ざした地産地消のエネルギー。天候に左右されず、24時間安定して供給できるほか、二酸化炭素の排出も抑えられるクリーンなエネルギー」とそのメリットを挙げた。石油や天然ガスなどによる発電方法はその資源を輸入に頼らざるを得ない上、二酸化炭素の排出量も格段に多い。だが、地熱発電は、海外資源に頼らずにクリーンな電力供給が可能になる。

ここで水沢が「人間だと調子いい、悪いって時があるけど、地熱は“今日の地熱ヤバーイ!”みたいなことはないの?」と質問。糸井氏は「すごく長期的には、蒸気の量が減ることはありますが、1日2日では大きな変化は無い。安定して供給できる」と、地熱発電の安定性を説いた。地熱発電は50年、100年と施設を長く使用でき、設備利用率も同じクリーンエネルギーとされる太陽光発電12%、風力発電20%に対し、地熱発電は70%と高い利用率を誇る。最近では電力買取制度の実施や、規制の緩和などにより、小型の地熱発電設備が増えつつあるという。

もちろん、コスト面や蒸気を通す井戸の採掘による環境変化など、地熱発電にも課題はまだある。せっかくの「地産エネルギー」である地熱を有効に活用できるよう、今後の発展に期待したい。

観客の大きな拍手で収録を終えた

なお、この日収録された番組は5月2日10:30~11:25に福岡放送、くまもと県民テレビ、長崎国際テレビ、テレビ宮崎で放送される(テレビ大分は同日15:30~16:25、鹿児島読売テレビは5月3日15:00~15:55に放送)。