NVIDIAのミドルレンジGPU「GeForce GTX 960」は、実売3万円前後の価格の製品だが、MMORPGやMOBAをはじめ、ほとんどのFPSタイトルもフルHD & 最高画質でそこそこ遊べるとあって、注目が集まっている。各社からオーバークロック仕様のグラフィックスカードがリリースされている中、とりわけ高いオーバークロック設定を施しているのがZotacの「GeForce GTX 960 AMP Edition」だ。

GeForce GTX 960 AMP Edition

最高クロッククラスのGeForce GTX 960カード

ZotacのGeForce GTX 960カードには、AMP Editionのほか「Zotac GeForce GTX 960」の2モデルをラインナップする。違いはGPUクロックで、無印のZotac GeForce GTX 960も、オーバークロック仕様であり、GPUコアクロックを1,177MHzに、ブーストクロックを1,240MHzに設定している。

AMP Editionはそこからさらにオーバークロックした上位モデルという位置付けだ。AMP Editionでは、GPUコアクロックを1,266MHzに、ブーストクロックを1,329MHzに設定しており、高いパフォーマンスが期待できる。

Zotac GeForce GTX 960 AMP Editionは現在販売中のGeForce GTX 960カードのなかでも、最高クラスのクロック設定

さて、Zotac GeForce GTX 960 AMP Editionカードを写真とともに見ていこう。まず、クーラーには専用設計の「IceStorm」を採用している。ヒートシンクに2本のヒートパイプを通し、デュアルファンで冷却する構造で、背面にも放熱板を加えて基板の両面から放熱を行っている。特に放熱板に関しては、無印のZotac GeForce GTX 960には搭載されておらず、AMP Editionだけの機能になる。

2基の大口径ファンを搭載する「IceStorm」クーラー。内部には大型ヒートシンクと銅色の2本のヒートパイプが見える

また、今回は「METAL GEAR SOLID V」ゲームクーポン付属モデルということで、放熱板にはMETAL GEAR SOLID Vのイラストがプリントされていた。通常、放熱板を搭載するカードでもせいぜいメーカーロゴ程度しかプリントされていないので、その点でも目立つ。

カード裏面にはMETAL GEAR SOLID Vのイラスト入り放熱板を備える

GeForce GTX 960では、多くのメーカーが低負荷時にファンの動作を止める"ファン停止機能"を搭載してきたことが話題だ。Zotacの製品も例外に漏れず、同様の機能「FREEZE」テクノロジを搭載している。FREEZEテクノロジでは、まず電源供給をリアルタイムでモニタリングする「Power+」と温度センサーを利用し、ファン停止の条件を「59度以下、または消費電力が13Wを下回った場合」と設定している。

ディスプレイ出力端子は、DisplayPort、HDMI、DVI-D、DVI-Iの4系統で、4画面出力や、ゲーミング液晶のG-SYNCをサポートする。端子数として見ると、他社製品と比べると少ない部類に入るが、アッパーミドルGPUというGeForce GTX 960の性格を考慮すれば十分だろう。

ディスプレイ出力端子はDisplayPort、HDMI、DVI-D、DVI-Iの4系統

マルチディスプレイを活用したい場合は、各端子に合わせて液晶ディスプレイ側の接続インターフェースを選ぶとよい。例えばDisplayPortやHDMIしか使いたくないという場合には、本製品は変換ケーブルを併用するか、候補から外れることになるだろう。

カードのサイズは、厚みが2スロット分で、長さが208mmとされている。厚みに関しては完全に2スロットサイズに収まっているため、例えばマイクロATXマザーボードと組み合わせた場合、AMP Editionを2枚用いた2-way SLIが構成可能だ。高さ方向もフルハイトを大きくはみ出すことはないため、ケースのサイドファンなどとの干渉も少ない。

SLI用端子は1基。2-way SLIまでの対応となる

オーバークロックモデルではあるが、補助電源コネクタはリファレンススペックに準じた6ピン×1基。計算上150Wまで供給できるので、動作自体には問題が無いだろう。ガッツリとしたオーバークロックになると、マージンが少ないことになるが、空冷の範囲で可能な、そこそこレベルのオーバークロックであればカバーできるだろう。

補助電源端子は6ピン×1基。電源ユニットに対する要求も少ない

オーバークロックユーティリティとしては「FIRESTORM」が付属する。この種のオーバークロックツールが備える機能はひと通り備えており、かつシンプルにまとめられている。最も簡単なオーバークロックは、右側パネルの下にある、「2D」「3D」「3D+」とあるボタンによるプリセットの適用だ。

3つのプリセットは、「2D」はコア:1,296MHz/ブースト:1,359MHz、「3D」はコア:1,316MHz/ブースト:1,370MHz、「3D+」はコア:1,336MHz/ブースト:1,399MHz。3D+も、ベンチマーク中は問題なく動作していた

モードを選んでApplyボタンを押せばすぐに適用される。なお「2D」は低消費電力設定を想像されるかもしれないが、これもオーバークロック設定だ。詳細なオーバークロックを求める場合は、右のパネルの上にあるAdvancedモードを指定することで、画面下に各項目の設定画面が現れる。