グローバルのデジカメ市場は縮小傾向にあるが、その一方でスマートフォンが急増。スマートフォンのカメラ機能で写真や動画を撮影する人も増え、その意味で「撮影できるデバイス」は12億台を超えるほどに成長している。一般的にカメラメーカーは、スマートフォンユーザーがステップアップでコンデジやミラーレス、一眼レフへ移行することを狙っているが、今回のOLYMPUS AIRはスマホカメラでクリエイティブな撮影をする人をターゲットとする。

スマートフォンによって撮影人口は急拡大している

スマートフォンから一眼へのステップアップではなく、スマートフォンをさらにクリエイティブにするための機器として位置づける

例えばInstagramなどのアプリを使い、一眼レフのような写真を撮ったり、フィルターを活用してクリエイティブな写真を撮りたいといった人は多い。さらに、週に2~3回以上スマホカメラで撮影をするような人は国内で220万人いると見ており、こうしたユーザーにOLYMPUS AIRをアピールしていく。

国内では、こうしたユーザーが220万人と見る

OLYMPUS AIRは、同社のOM-DやPENといったミラーレスカメラと同等のセンサーや画像処理エンジンを搭載している。レンズも同じなので、基本的に画質は同等だ。スマートフォンのカメラ機能に比べて、夜景などを低ノイズかつ高い解像度で撮影できるなど、「一眼画質」を実現しながらアプリで拡張できるという点を、OLYMPUS AIRの売りとしている。

スマートフォンのカメラ機能と比較して画質が高い

スマートフォンアプリとして操作しやすいUIに、カメラで培った技術を投入した

アプリについては、当初は3種類のベーシックアプリ、5種類のクリエイティブアプリを用意。ベーシックアプリは、ビューワーアプリや、一般的なカメラのようなP/A/S/Mなどのマニュアル操作が可能な撮影アプリだ(注 : Pはプログラムオート、Aは絞り優先AE、Sはシャッタースピード優先AE、Mはマニュアル露出)。

クリエイティブアプリは、1回の撮影で6枚のクリエイティブフォトを撮影する「OA.Genius」、14種類のアートフィルターを適用できる「OA.ArtFilter」など。これまで同社のカメラに搭載されていたような、クリエイティブ撮影機能をアプリから操作できるようにした。

当初用意されるアプリ。iOS向けとAndroid向けを用意。全種類を同時に提供できるかは分からないという

対応OSはiOSとAndroid。それぞれのOSに対応するSDKも無償で公開し、開発者にアプリ開発を促していきたい考え。Windows対応のアプリの開発もできるように検討していくとのことだ。カメラの操作を行うAPIなども公開されるため、例えば既存のカメラアプリからOLYMPUS AIRに接続するといったことも可能だという。

開発者がアプリを自由に開発できるだけでなく、アクセサリなども自由に開発できるように、3Dデータも公開。これを組み合わせることで、開発者がケースをはじめとした各種ハードウェアを制作し、それに合わせたアプリを開発する、といったことができるようになっている。

開発者やクリエーター向けにSDK、3Dデータを提供

オリンパスではこれを「オープンプラットフォームカメラ(OPC)」として、OLYMPUS AIRを中心としたエコシステムの構築を目指す。すでに、プロトタイプのカメラを提供してハッカソンイベントを開催するなど、プラットフォームを盛り上げるための取り組みを始めており、製品版の提供で、さらに活性化させたい考えだ。

当初のプロトタイプ(写真左)。MIT MediaLabとのワークショップをきっかけとして進められたのが今回のプロジェクトだという(写真左)