キャンペーンのメッセンジャーは加藤ミリヤ

イベントに参加した加藤ミリヤと前川喜平・文部科学審議官

去る12月7日に東京国際フォーラムにて行なわれた『友だちのピンチ、身近なおとなに話そう。』キャンペーンのトークイベント、「友だちのピンチにできること」。『友だちのピンチ、身近なおとなに話そう。』は、主に中・高校生世代の子どもを対象として、友だち(や自分自身)が人生の問題や命の危機に陥ったりしたときに、友だちとして必要な「行動指針」を周知するため、11月からスタートした内閣府文部科学省によるキャンペーンである。

この日、行なわれたのはキャンペーンのメッセンジャーであるシンガーソングライターの加藤ミリヤを招いてのトークショーだ。冒頭、文部科学審議官の前川喜平氏によるキャンペーン趣旨説明の後、加藤ミリヤが登場。事前応募により会場に集まった12~20歳の若者から歓声が上がる。とある中学でカウンセラーをした経験を持ち、現在は名古屋大学院教育発達科研究教授の窪田由紀先生を招いて、いよいよトークショーの始まりである。

「10代の悩みについて」がトークセッションのテーマ

話のテーマは「10代の悩みについて」。加藤ミリヤも「話す相手もおらず、人に相談することがなかった。その思いをぶつける手段として歌手を選んだ」という自身の10代のころについて語る。加藤いわく「当時(約10年前、加藤ミリヤ16歳のころ)の悩みといえば恋の話ばかり。でも今16歳の子たちと話すと、ほとんどが友人関係の悩みばかりなんですね」と時代による10代の悩みの移り変わりを説明してくれた。

過去7年間の平均によると、中高生の自殺の原因・動機は学校問題が39.3%。特に進路問題、学業不振が全体の20%以上の原因になっているという。学校問題……もっともこれらは後日遺書や遺族からの聞き取りなどにより推測された結果に過ぎない。つまり学校での自分を取り巻く環境=友人関係が、その多くの原因と言って差し支えないだろう。

キャンペーンの合言葉は「教室」

ここで、相談を受けた子供の行動指針となる「きづいて、よりそい、うけとめて、しんらいできる大人に、つなげよう」の頭文字をとった「教室」の説明が窪田先生を中心に行われた。「当時は信頼できる大人なんていないと思っていた」という加藤。一方で「信頼できる大人になろう、彼ら彼女たちと同じ目線で話せる人に、と思って今がある」とも言う。「悩みは一種の安全装置。周りがまず、気づいてあげるのが大事。相談=ただ聞いてほしいだけのときもある」という窪田先生が、この「教室」の意義を語る。

計3曲を熱唱

信頼できる大人の一例としてこのあと各地域の相談センターや一般社団法人日本いのちの電話連盟などから、場内の若者に向けてビデオメッセージが流された。特別に登壇した横浜市青少年交流センターの米山氏は「小学生から社会人までが訪れる施設。最初から悩みを話すのではなく、レクリエーションや雑談など、気軽に相談に来てほしい」と力強いメッセージを残した。

終盤は会場に訪れた若者から加藤ミリヤへの質問コーナー。「辛いときはどう乗り越えるのか?」「強さとは何か?」など、12~20歳の若者からリアルな悩みを聞くことができた。そして最後に「私は音楽に救われた」という加藤から来場してくれた若者に、来年1月に発売されるニューシングル「少年少女」を含む計3曲を歌うというサプライズが! 小1時間真面目にトークを見守っていた場内からはこの日一番大きな歓声が沸き上がった。

なお本キャンペーンのトークイベントは入場無料で、2015年1月8日に北九州、25日に名古屋、2月1日に札幌、2月8日に神戸と全国を巡回して行われる。