富士重工業がこのほど発売した、6代目となるスバル新型「レガシィ」。先代モデルまで設定されていたツーリングワゴンがなくなり、クロスオーバーSUVの「レガシィ アウトバック」、セダンの「レガシィ B4」というラインナップとなった。

スバル新型「レガシィ アウトバック」「レガシィ B4」

「レガシィ ツーリングワゴン」の実質的な後継モデルである「レヴォーグ」をはじめ、「WRX STI」「WRX S4」などがラインナップに加わる中、国内において「レガシィ」のブランド名を残し、アウトバック / B4の2タイプに絞って販売するねらいとは? スバルの販売戦略について、富士重工業スバルグローバルマーケティング本部商品グループ主査、松本博桂氏に聞いた。

「レガシィ」ブランド知名度の高い50代前後が主要ターゲットに

--6代目となる新型「レガシィ」では、ツーリングワゴンの設定がなくなりました。その理由について教えてください。

松本氏 これまで、「レガシィ」は3種類のボディタイプで幅広いレンジをカバーしてきました。しかし、新たに「レヴォーグ」や「WRX S4」といった車種がラインナップされたことで、「レガシィ」が必ずしもすべてのフォーメーションを埋める必要がなくなってきたわけです。これまで、ツーリングワゴン・B4・アウトバックの売上比率はおおむね5:2:3でしたが、ツーリングワゴンとアウトバックで迷うお客様が多く、どっちつかずの状態になっていました。SUV人気が高まりつつあるいまだからこそ、新型はアウトバックに絞ろうということになりました。

--新型「レガシィ」のターゲットとしては、どういった層を想定していますか?

松本氏 新規のお客様を掘り起こすというよりも、既存のユーザーの方々をおもなターゲットとして考えています。5代目の「レガシィ」シリーズにお乗りいただいているお客様にアンケートを取った結果、現在のボディサイズに満足しているという回答が7~8割にのぼりました。そこで、サイズはあえて大きくして、そのゆとりを「ヘキサゴングリル」「ホークアイヘッドランプ」といったデザイン面の強化に使っています。

--世代的にはどの層を狙っているのでしょうか?

松本氏 子育てが一段落したファミリー層を中心とした、昔からの「レガシィ」ユーザーの方々にお乗りいただけるのではないかと考えています。年齢的には50代前後の方々が主要層となりますが、この世代の方々にとって、「レガシィ」というブランドの知名度は、スバルブランドをも上回ることがあります。

--新型「レガシィ」のパワートレインについてお聞かせください。

松本氏 エンジンは2.5リットルの水平対向自然吸気エンジンを使用しています。これはスバルのグローバルパワーユニットであり、基幹エンジンでもあります。一見、従来とは違いがないように感じられるかもしれませんが、新型「レガシィ」ではエンジンパーツの80%を新製しています。一方でミッションは燃費面に配慮して、効率を高めるための次世代CVT「リニアトロニック」を採用しています。いずれも燃費とドライバビリティを両立させるため、技術者がかなり苦労して作り上げたドライブトレインとなっています。

--それにしても、今年さまざまな新モデルが発売される中、「レガシィ」に関しては新しいトピックが欠けているように感じるのですが……。

松本氏 たしかにエンジンにしてもCVTにしても、売りになるような目新しさには欠けているかもしれません。しかし、「レガシィ」はスバルの最新で最良のものであるという「ニュースバルクオリティ」というテーマにもとづき、基礎を積み上げた地道な改良を重ねてきました。新型「レガシィ」の良さは、乗れば必ずわかっていただけるものだと思います。