米Appleは9日(米国時間)、米国カルフォルニア州クパティーノでスペシャルイベントを開催し、新型iPhoneの2機種「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」を発表した。発売日は両機種ともに9月19日で、日本でも同日発売となる。

ついにお披露目となったiPhone 6

iPhone 6/iPhone 6 Plusは、現行のiPhone 5sの後継機種にあたる新型iPhone。iPhone 6は4.7インチ、iPhone 6 Plusは5.5インチと、従来よりも大画面化したほか、搭載されるCPUはApple A8チップ、モーションコプロセッサはM8へと進化している。また、NFCを搭載し、Appleが新たに開始する決済サービス「Apple Pay」にも対応した。

日本では、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクからiPhone 6/6 Plusが販売される予定で、昨年のiPhone 5s/5cと同様に主要3キャリアが同じ土俵で競い合うことになる。また、すでにiPhone 6/6 Plusの購入を決めたという人は、どのキャリアから購入すべきかも悩みどころだろう。

日本語のiPhone 6紹介ページも公開された。通信事業者の項目にはNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクが並ぶ

そこで本稿では、iPhone 6/6 Plusのネットワークに着目し、現時点までに発表された情報をもとに、両機種でのキャリア選びについて、いち早く考えてみたい。

iPhone 6/6 Plusは、2.5GHz帯TD-LTEに対応

iPhone 6/6 Plusのキャリア選びでポイントとなるのが、ネットワークと料金プランだ。料金プランについては後日、各社から発表される見込みで、あわせて対応ネットワークについても詳しい発表があると思われるが、本稿では現時点までの情報で新型iPhoneの各社ネットワークについて検証してみたい。

マイナビニュースの別稿では、新型iPhone発表前にネットワークに関する予想を紹介した。具体的には、TD-LTEのバンド41(2.5GHz帯)をサポートすること、通信速度は下り最大150Mbpsとなりキャリアアグリゲーション(CA)に対応することを予想したが、今回はほぼ予想通りの結果となった。

まず、日本で販売されるiPhone 6/6 Plusは、3キャリア共通のモデルとなり、iPhone 6が「モデルA1586」、iPhone 6 Plusが「モデルA1524」となっている。注目すべきは、両モデルともTD-LTEのバンド41をサポートしたことだ。

日本では、TD-LTEの2.5GHz帯において、KDDIおよびUQコミュニケーションズ陣営が「WiMAX 2+」、ソフトバンクがAXGPネットワークを利用した「SoftBank 4G」をそれぞれ提供している。iPhone 6/6 Plusでは、従来のFDD-LTEに加え、これらのTD-LTEネットワークが利用可能となる見込みで、KDDIとソフトバンクのユーザーは従来よりも快適な通信を利用できるだろう。

通信速度は下り最大150Mbpsに

また、iPhone 6/6 Plusの通信速度は、下り最大150Mbpsとなり、CAにも対応することが発表された。CAは、LTE-Advancedの主要技術のひとつで、複数の周波数帯域をまとめて、1つの帯域のように使って通信速度を向上させるという技術だ。

日本では、KDDIが国内キャリアで初めてCAを導入し、2014年夏モデルからCA対応端末を販売している。同社のCAでは、LTEの800MHz帯と2.1GHz帯を束ね、下り最大150Mbpsの通信が可能となっている。また、ドコモでは2014年度中、ソフトバンクでは2015年以降(FDD-LTEについて)にCAを開始する予定だとしている。

なお、実際にiPhone 6/6 Plusで国内キャリアのCAを利用できるかどうかは不明だ。しかし、すでにCAを導入しているKDDIのネットワークに対応すれば、より高速で安定的な通信が可能になるだろう。CAの対応状況の詳細については、各社の発表を待ちたい。

国内キャリアのVoLTE対応は不明

このほか、iPhone 6/6 Plusでは、LTEを利用した音声通話サービス"VoLTE"への対応も発表された。ただし、国内キャリアのVoLTEに対応するかどうかは現時点では不明だ。AppleのWebサイトを確認したところ、本稿掲載時点においては、iPhone 6の"接続"について解説するページでは、英語版には"VoLTE"の記述が見られるものの、日本語版では"VoLTE"の記述がなくなっている。そのため、現時点ではiPhone 6/6 Plusの国内でのVoLTE対応には、あまり期待できないかもしれない。

VoLTEは、日本ではドコモが6月より提供開始しており、2014年夏モデル以降の一部端末で利用できる。また、KDDIやソフトバンクもVoLTEの提供を予定している。しかし、VoLTEの特長である高音質通話は、同一キャリア内の対応端末同士でしか利用できないため、今のところ利用シーンは限定的と言える。そのため、iPhone 6/6 Plusのキャリア選びでは、まずはTD-LTE、CAに注目するのが良さそうだ。

新型iPhoneでのサポートが予想されるTD-LTE、CAに関しての各キャリアの対応状況

あくまで筆者の主観だが、先日公開されたiPhoneに関するネオマーケティングの満足度調査RBB TODAY SPEED TEST分析レポートなどから考えると、iPhone 6提供開始時点では、TD-LTE/CAに対応するKDDI(au)を選択したユーザーが最もネットワークの高速化と安定化のメリットを享受できると言えそうだ。

※ 各キャリアの料金プランが発表され次第、こちらもあわせてチェックしていく。