世界遺産の山を守るためにも知っておきたいこと

普段の生活を快適に、そしてスムーズに送るために必要なルール。実は山にも山のルールがある。同じように快適性を高めるが、山の場合は安全性を高めることにもつながるので、登山前にはぜひ頭に入れてほしい。とはいっても、ここで紹介するのはごく基本的なことなので堅苦しく考えず、登山前に身に着けて生かしていきたい。

登山道を歩くこと
登山道は歩きやすさのためだけではなく、安全のためにも整備されている道。特に富士山は登山道から外れると石や岩が多くあるため、落石を起こし、ケガをさせてしまう危険性もある。登山道を歩くことは、自分以外の登山客の安全性も高めることだと考えること。 また環境に余計なダメージを与えない、という意味もある。登山道から外れて歩くと、再現なく道を広げることになり、自然を壊すことにもつながってしまう。自分は楽しんでいるつもりでも環境を壊している、なんてこともありうるので注意が必要だ。

譲り合いの心で(登りが優先)
富士山の登山道は幅が広いところも多く、さらに、ルートによっては登山と下山の登山道が別に用意されているところもある。そのため、すれ違うシーンはあまりないかもしれないが、基本的に登りを優先する。登りの対向者が来た場合は、登山道からは外れないように横にそれて道を空ける。

ただ、あくまで「基本的には」ということを忘れずに。安全を第一に考えるべきで、下り側が先に通過する方が安全だと判断できれば、ひと声かけて通過しでも問題はない。山でもコミュニケーションが大事なのである。

ごみは持ち帰る
富士山が自然遺産に登録されなかった理由として、語られることもあったごみの問題。基本的には自分で出したゴミに関しては、全て持ち帰ること。富士山にごみ箱はないと思った方が良い。飲料水を入れるペットボトルをマイボトルに、行動食は包み紙を外して、まとめてプラスチックケースに入れるなどすれば、ゴミを減らすこともできる。

ただ、山小屋で買ったものに関しては、山小屋で回収してくれる。ちなみにいくら持ち帰るとはいっても、登山道にある石や植物は持ち帰りはNG。富士山は国立公園の中にあるため、持ち帰るためには環境大臣の許可が必要となる。

火器の使用には注意
常識的に分かる範囲ではあるが、直火によるたき火は禁止されている。携帯用のバーナーなどは使用OKだが、山小屋内や山小屋付近では使用しないこと。風の強い日、混雑時なども使用を控えた方が良い。また、日本一の場所でタバコを一服、という気持ちも分かるが、火の始末は確実にし、吸い殻は携帯灰皿を使用して持ち帰ること。

ペットと登山もOK、ただし……
2006年から、国立公園の特別保護地区(富士山は5合目以上が適応される)において、「動物を放つこと」が禁止された。つまり、リード(ひも)なしでの登頂は禁止されている。

「山頂で愛犬と一緒にご来光」も不可能ではないが、よくあるトラブルとして聞くのは、直射日光によって熱せられた岩や砂によって、肉球が擦りむけてしまうこと。そのため、状況によってはペットを背負って下山しなければならないこともある。また、マーキングやふんなどはきちんと処理しないとマナー違反となるばかりか、生態 系に影響を与えることも考えられる。ペットと登山する時はしっかり計画を立て、そのリスクも考えておきたい。

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