スイスのバーゼルで開催されたウオッチ&ジュエリーの祭典「BASELWORLD 2014」。シチズン時計は2014年のフラッグシップモデルとして、「エコドライブ サテライトウェーブ F100」を発表した(以下、写真をクリックすると拡大表示)。

「エコドライブ サテライトウェーブ」は、光で発電した電力で駆動し、時刻情報を人工衛星から取得することで正確な時を刻む、シチズンの先進的プロダクツ。今回お披露目された「F100」は、その最新モデルだ。「世界中の人々に正確な時間を届けたい」という思いのもと、「世界で最も薄く、最も速く(衛星から)時間を取得する」ことを目標に開発されている。

気になるケースの厚みは、わずか12.4mm。従来モデルから4割もの薄型化に成功した。ケースはフルチタン製で、ケース端からバンドへ続く傾斜したベベルなど、デザイン的にも薄く感じる工夫が施されている。

まるで浮遊しているような展示がユニークなブース内のディスプレイ

もうひとつの大きなテーマである時刻の受信速度は、最短3.00秒。天候など諸条件を考慮した平均値で約8秒となっている。これは、従来機より約4秒の短縮にあたる数値だ。この時間短縮のために、開発陣は時刻情報取得のアルゴリズムをゼロから書き直している。時刻の取得を最優先とするため、GPSによる現在地情報は取得しない設計にしたそうだ。また、時分針の各針に3倍速のモーターを配して独立制御させることで、最短コースでの時刻合わせが可能となった。

エコドライブ サテライトウェーブ F100は、非常にベーシックな3針時計だ。それゆえ、取扱説明書を読まなくても容易に使うことができる。衛星電波を受信するためのタイムゾーンも、電子りゅうずで直観的に針を動かしながら設定可能だ。ちなみに、一般的にタイムゾーンは世界で「39」というのが定説であり、多くの時計が39タイムゾーンに対応している。が、本製品はなんと「40」のタイムゾーンに対応しているのだ。

シチズンのブースより、「圧縮された時間」をテーマに構築されたインスタレーション

40番目のタイムゾーンは、オーストラリアの「西部中部時間」で、「WCT」と略記される。ただし、これを使用しているのはおよそ80人の住民であり、実はタイムゾーンとしては政府非公式なのだ。しかしながら、「私たちの社名、シチズンとは市民という意味。非公式であっても、そこに使っている人々がいるのなら、入れようじゃないかということになりました。」(シチズン広報)

もうひとつ、気が利いているのは新機能の「ライトレベルインジケーター」。光の強度に応じて針が7段階に反応するので、より充電に適した場所を効率よく見つけることができる(明るい場所のほうが充電に有利)。

充電効率と省電力性能も改善されており、満充電状態で2年、パワーセーブ状態で6年間の駆動が可能とのこと。なお、インダイヤルの右側は5段階のパワーリザーブとなっている。衛星電波非受信時の月差は±5秒。

ブラックダイヤル(メインモデル)とホワイトダイヤル

500本限定モデルのウレタンバンドモデル

ラインナップは3モデルだ。ケース素材はすべてチタニウムだが、表面保護加工が異なる。メインモデルであるブラックダイヤルは、デュラテクト(一部デュラテクトDLC)加工、ホワイトダイヤルはデュラテクト加工、500本限定モデルのウレタンバンドモデルはデュラテクトDLC加工となる。すべて防水性能は10気圧、風防はサファイアガラス。ケース径は45.4mm。価格は未定だが、発売は2014年秋を予定している。