フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは3月5日、「フリースケールのネットワーク分野への取り組みと今後の戦略」と題した記者説明会を行い、この中で同日発表された「VortiQa SDN」について説明を行った(Photo01)。
近年IoTやらMobile Communicationやらの関係もあり、向こう10年くらいはひたすらネットワーク量が増えてゆく、という予測は各所から出されている訳であるが、こうしたネットワークマーケットで非常に大きなシェアを獲得しているのが同社であるのは良く知られている(Photo02)。
このマーケットに同社はPowerQUICC~QorIQというラインアップに加え、基地局向けのQorIQ Qonvergeを投入しており、これに続くアーキテクチャとしてQorIQ Layerscapeを既にアナウンスしている(Photo03)。ただこのネットワークの分野で、今後明確に見えているトレンドが2つあり、1つはSDN/NFV、もう1つがLTE/LTE-A/5Gである。今回はこのうち、前者のSDN/NFVについての話題である。
SND(Software Defiened Network)やNFV(Network Funcitions Virtualization)そのものはもはや珍しい議論ではなく、当然対応すべき項目として既に認識されており(Photo05)、またSDNのメインストリームはOpenFlowをベースにしたものになりつつある(Photo06)。
Photo05:きわめてざっくりしたSDN/NFVの説明 |
Photo06:SDN≠OpenFlowである(OpenFlowを使わないSDNも存在する)が、OpenFlowを利用したSDNが大多数、というのが現状である。このあたりは別記事(例えばコレなど)を参照されたい |
こうした現状に対応する形で発表されたのがVortiQa SDNである。VortiQa SDNには2種類あり、まずはNorthbound APIに対応した「VortiQa ON director Software」、それとSouthbound APIに対応した「VortiQa ON switch Software」である(Photo07)。
同社が強調していたのは、これが商用グレードということ(Photo08)。つまりこれを利用するだけで、機器メーカーはすぐにSDN対応製品を構成できる事になる。具体的にこれをどう利用するか? ということで、まずはVortiQa ON switch Softwareを利用したケースである(Photo09)。
Photo08:とはいえ、商用グレードのソフトウェアの提供は主要なネットワークプロセッサベンダーはいずれもやっていることで、なのでここで差別化が出来るかというと難しいのだが |
Photo09:これはQorIQベースでデータプレーンを構成した例。VortiQa ON switch Softwareを利用することで、上位のコントローラプレーン機器とOpenFlowで接続される形になる |
これは実際のパケット処理をするデータプレーン機器を構成した場合の例だが、ではその上位のコントローラプレーンを構成する場合は?というと、こちらはVortiQa ON director Softwareを使う事になる(Photo10)。
ちなみにこのVortiQa SDNそのものの発表は同日であるが、これに先駆けてPlugfestなどにも参加しており、製品の完成度が高い事をアピールしていた(Photo11)。
Photo10:上位のコントローラプレーンを構成した例。下位のデータプレーン機器と今度はOpenFlowで接続する形になる |
Photo11:PlugFestとは要するにOpenFlow機器を製造するベンダーが自社製品を持ち寄って相互接続を確認するテスト。Freescaleはここにリファレンスボードとリファレンスソフトウェアを持ち込んでテストを行ったとの事 |
また2014年3月24日に同社はメトロセル向けに「QorIQ Qonverge B3421」を発表したが、これについても説明があった(Photo12)。ベースとなるのはデュアルコアのPowerPC e6501で、これにDual StarCore SC3900が搭載されたというQorIQ Qonvergeの構成は変わらないが、256ユーザー向けに十分な処理性能を確保すると共に、省電力性にも注力しており、その1つが今回搭載された「DFE(Digital Front End)」だそうである。実際構成は、「まるでWi-Fiのアクセスポイントみたい」(岩瀬氏)というほどに簡単(Photo14)になっており、基地局の小型化に貢献する。同社はこれで、Femto向けからMacro向けまで同じアーキテクチャでラインアップをそろえた事になる(Photo15)。この先の展開は、先ほど出てきたLTE-Advanced向けといった話になってくるだろう。