Freescale Semiconductorは2月24日、次世代LTEインフラの基盤となるメトロセル基地局機能を1チップ化した「QorIQ Qonverge B3421」を発表した。

世界的にモバイルデータ量が急増しており、機器メーカーやキャリア各社は、ネットワーク性能を向上させつつ、設備投資費を抑制し、消費電力効率を高め、4G/LTE標準規格に対応する必要に迫られている。世界のワイヤレス基地局システムにとってマクロセルは依然として欠かせない存在だが、人口密度が高い都市部や企業向けにサービスを提供する上で、メトロセルに注目が集まるようになっている。

同製品は、組み込みCPUコア、DSPコア、ベースバンドアクセラレータなどが統合されており、フロントエンドからバックホールまで、基地局のあらゆる処理タスクに対応する。また、デジタルフロントエンド(DFE)技術を統合しているため、パワーアンプ(PA)の効率を改善し、基地局の消費電力とコストを大幅に削減する。DFE機能は、業界標準のアンテナインタフェースと組み合わせることで、シームレスなRFICインタフェース、効率的なRFラインナップ最適化を実現する。

この他、低消費電力要件を満たすためのPoE(Power over Ethernet)機能、様々なアンテナ方式に対応するJESD204B/JESD207/CPRIインタフェースのサポート、Wi-Fiチップセットとの接続向けのPCI Express、ローカルコンテンツキャッシュ向けのSATA、ならびにEthernet SGMIIバックホールインタフェースを搭載する。加えて、LTEとWi-Fiの同時運用向けに最適化されており、LTE-TDD、LTE-FDD、LTE-Advancedのワイヤレス標準規格をサポートする。そして、先進的な4×4 MIMOアルゴリズム、Release 11までの3GPP標準、先進的な干渉除去方式、eICIC、キャリアアグリゲーションによって、周波数の利用効率が改善される。

さらに、実績のあるアクセラレーション技術を採用し、それぞれのコアカテゴリにおいてPower Architecture e6500デュアルスレッドコアとStarCore SC3900 DSPコアを組み合わせている。その結果、最大256人のユーザ同時接続をサポートし、大企業や都市部など、ユーザが密集した環境でも効率的に周波数が利用できる。

なお、2015年第1四半期よりサンプル出荷を開始する予定。同社では、「QorIQ Qonverge B3」ファミリをサポートする製品やサービスエコシステムを用意している。例えば、商用グレードのVortiQaレイヤ1ベースバンドソフトウェアを利用すると、最適な性能を実現しつつ市場投入を加速できるとしている。