TransferJetコンソーシアムは、13日から16日まで開催されたカメラ展示会「CP+2014」にて、近距離無線技術「TransferJet」に関するセミナーを実施した。

TransferJetは、理論値で最大560Mbpsの通信が可能な近距離無線通信規格。通信距離は0から3cmと短いが、干渉のない安定した通信が行える。通信速度はUSB 2.0とほぼ同等で実効速度は375Mbps。PCやスマートフォンに対応アダプタを装着すれば、写真や音楽データをよりスムースに端末間で共有可能だ。実際にデモ機を試したところ、タブレットに保存した写真を瞬時にPCに送信できた。

同じ近距離無線規格としては「NFC」の方が広く普及しているが、通信速度はTransferJetの最大560Mbpsに対し、NFCは最大424kbpsと大きく差が開いている。NFCとTransferJetは想定用途が異なり、NFCは主に認証やBluetoothペアリング、小容量データの転送など、TransferJetは主に大容量データの転送だ。

現在、TransferJetの利用には対応アダプタが必要となるが、将来的にはNFCのようにスマートフォンなどのモバイル端末に内蔵される可能性があるという(説明員)。TransferJetアダプタについては、レビュー記事「クリスマスにTransferJetアダプタを試す - 理論値560Mbpsの近距離無線通信、実力はいかほど?」も参照いただきたい。

スマートフォンに挿入されているのがTransferJet対応のUSBアダプタ

対応アダプタ同士を近づけるだけで、データを共有できる

セミナーに登壇したTransferJetコンソーシアムの林寿一氏は、TransferJetについて「(3cmしか)飛ばない無線なので電波干渉の心配がない」と説明。都内のコーヒー店など、同じ場所に多数のネットワークがあり、通信が不安定な場所でも安定した無線通信が可能だと説明した。

TransferJetコンソーシアムの林寿一氏

TransferJetの仕様

TransferJetは日本発・純国産の国際標準技術となる

また、TransferJetとWi-Fi・Bluetoothの違いを説明。Wi-Fi・Bluetoothの方が通信距離が長く、同時接続できる端末数も多いため、「大人数で写真データを共有する時や、離れた端末同士を接続する場合は無線LAN(Wi-Fi・Bluetooth)の方が適している」とし、無線通信は「用途や通信状態などに合わせて選んで欲しい」とコメントした。

他の無線技術との比較図

無線LAN(Wi-Fi)は、チャンネルが管理されていない場所では、通信が不安定になりやすい

TransferJetと無線LANの違いを示した図

なお、TransferJetコンソーシアムは「CP+2014」のSDアソシエーションブースにて、TransferJet対応のUSBアダプタ「TJ-UA00A」およびmicroUSBアダプタ「TJ-MU00A」を使ったデモを展示した。

東芝製のTransferJet対応のUSB/microUSBアダプタ

TransferJetモジュールを組み込んだSDHCカードも参考出展。SDカードを使うデジタルカメラをTransferJet対応にして、撮影した写真をTransferJetで高速に送信できるようになる(受け側のスマートフォンやタブレット、PCもTransferJet対応が必要)

TransferJetを体験できるデモ