PCを構成する重要なパーツの一つ「メモリ」

マザーボードでも、メモリのオーバークロックへの対応をうたっている製品は少なくない。だが自分で設定を行おうとすると項目の多さでつまづきやすく、結局標準のSPD設定のまま使用している方も少なくないと思う。しかし世の中にはオーバークロックメモリという製品が存在し、簡単にオーバークロック動作が行える仕組みも整えられている。そんなオーバークロックメモリの製品の一つが、今回紹介するキングストンの「HyperX」シリーズだ。

キングストンのオーバークロックメモリ「KHX26C11T2K2/8X」

キングストンといえば、個人からも法人からも厚い信頼が寄せられているDRAMモジュールシェア世界第一位の企業。その製品には期待が持てる。とはいえ、そもそもメモリのクロック周波数を上げることに意味があるのか、という時点から疑問に感じている方も少なくないだろう。今回はその疑問に応えるべく、検証を踏まえながら紹介して行きたいと思う。

XMPに対応したメモリはオーバークロック設定が書き込み済み

今回お借りしたのは、キングストンのオーバークロックメモリブランド「HyperX」の中でも、特に熱分散力の優れた大型ヒートシンクを搭載した「HyperX Predator」シリーズの製品だ。動作クロックは2666MHz。Intel Z87 Express構成の標準的なメモリ速度は1333MHzもしくは1600MHzなので、倍近いクロックで動作することとなる。

とはいえ、メモリアクセスタイミングもクロックの上昇とともに変化していくため、クロックが上がったからといって単純に速くなるとも限らないのが難しい点だ。一昔前であればそういったメモリクロックやアクセスタイミングを自分で設定、調整する必要があった。しかし現在はオーバークロックメモリ向け追加設定規格が策定されており、その設定を呼び出すことで簡単にオーバークロックが可能となっている。今回検証する「KHX26C11T2K2/8X」はインテルのXMPに対応しているため、マザーボードのBIOS(UEFI)画面から簡単にオーバークロックが行える。

ただし、マザーボード自体がオーバークロックに耐えられなくては、肝心のメモリも本領が発揮できない。そこで今回は、サイコムの「G-Master Cutlass2-ITX-DQX」を検証用に使用させていただいた。水冷ユニットを搭載した小型ゲーミングPCで、省スペースながらもミドルハイクラスのGPUを備え、オーバークロックにも対応している。

検証用に使用した、サイコムのMini-ITXゲーミングPC「G-Master Cutlass2-ITX-DQX」。ドラゴンクエスト10の推奨マシンとなるゲーミングPCだ

Intel Z87 Expressチップセットを搭載しているため、オーバークロックにも対応できる

DDR3-2666MHz動作の「KHX26C11T2K2/8X」

まずは「KHX26C11T2K2/8X」の外観をチェックしてみよう。やはり目を引くのは、大きなヒートシンク。しっかりとした重量感のある厚手の金属でメモリが挟まれており、冷却効果は高そうだ。ただしその大きさゆえに、CPUクーラーとの干渉やケース内での取り回しには注意が必要。標準のメモリの高さが30mmのところ、こちらの製品は53.9mmもの高さがある。できる限り干渉を減らしたいのであれば、簡易水冷ユニットなどを利用するとよいだろう。

「X」のデザインが施された「KHX26C11T2K2/8X」。2枚一組で販売される。厚手で、しっかりした高さのあるヒートシンクが頼もしい

ヒートシンクのない通常の高さ(30mm)のDDR3メモリと並べると、ヒートシンクを備えた本製品(53.9mm)の存在感が際立つ

マザーボードにメモリを設置したところ。高さの違いは明白で、大き目のCPUクーラーを利用する場合は干渉に注意が必要だ