1995年の創業以来、静止画・動画・音楽などさまざまなデジタルコンテンツの販売を行う、世界最大級のストックフォトである「ゲッティ イメージズ」。今回は、ゲッティ イメージズのクリエイティブ プランニング部門責任者、レベッカ スィフト氏に、先日開催された実践型写真研修イベント「iStockalypse」に参加した日本のフォトグラファーの印象などをはじめ、日本らしいビジュアルへのニーズなどについてお話を伺った。

ゲッティ イメージズ クリエイティブ プランニング部門責任者のレベッカ スィフト氏。赤く染めた髪とスタイリッシュな服をカッコ良く着こなすそのいでたちは、いかにも「アートに関わるキャリアウーマン」といった印象。彼女は写真業界で20年以上ものキャリアを築いてきた

「iStockalypse」は、ゲッティ イメージズ傘下のストックフォトサイト「iStock」が作品審査を通過した100名の日本のフォトグラファーを集め、11月18日~20日に開催した実践型写真研修イベントだ。今回インタビューに応じてくれたのは、同イベントの初日に行われたエデュケーション・デイにおいて、マーケットのニーズや最新トレンドなどについてのセミナーに登壇した、レベッカ スィフト氏。そんな彼女の目には、今回セミナーを受講した日本のフォトグラファーたちはどのように映っていたのだろうか。

日本のフォトグラファーの撮影技術は高いが、ストックフォトへのなじみが浅い

――「iStockalypse」を終えてみて、日本の参加者と海外の参加者で何か違いはありましたか?

まず、参加者のレベルが違います。日本は既にハイレベルな写真を撮られている人が大勢いました。しかし、iStockなどの「ストックフォト」についてなじみが浅い人が多かったように思います。きれいな写真を撮る方法は知っていても、それをどのように商業写真として展開すべきを知らない人が多いのでしょう。

日本の参加者はそれを理解したがっているようで、アップロード方法やキーワードの設定方法など、他の国よりも具体的な質問が相次ぎました。こうした事実はとても喜ばしいことです。なぜなら、われわれがしていることを彼らは一生懸命理解しようとし、次のステップへ進もうとしている証しだからです。日本の皆さまにはわれわれも勇気づけられました。

――では、海外ではどのような参加者が多いのでしょうか?

国ごとに文化が異なるため一概には言えません。写真スクールで勉強中の学生さんもいますし、写真が大好きなアマチュアもいます。彼らも日本のフォトグラファーと同様に、撮影技術は高いですが、それを商業的に展開する方法については疎いのです。

「日本のコンテンツ」は日本のフォトグラファーが撮影したものがベスト

――日本のフォトグラファーの可能性は?

それは「日本のコンテンツ」を撮影できることだと思います。写真の市場は世界中にありますが、日本はそのなかでも規模が大きいのです。以前、世界中のフォトグラファーに「日本のコンテンツ」を撮影させたところ、日本のコンテンツはやはり日本のフォトグラファーが撮ったものがベストだということがわかりました。そういう意味でも、新しいフォトグラファーの皆さまにも今後まだまだ大きな可能性が残されていると思います。

――日本のフォトグラファーが撮った「日本のコンテンツ」にはどんな特徴が?

やはり、日本の文化をよく理解しています。「何が美しいのか」、「どのように機能するか」、「どこで撮影するか」、「誰を撮影するべきか」、そして「どのような照明を使えば良いのか」などを、一番よくわかっているように思います。

――「日本のコンテンツ」を求めているクライアントは、日本と海外とではどちらが多いですか?

日本のコンテンツは世界中でよく売れます。それは、「日本の美」が世界中で理解されているからです。興味深いことに、アメリカのコンテンツはアメリカでしか売れません。しかし、日本のコンテンツは世界中で売れるのです。