アカデミー賞最有力候補を目されている映画『ゼロ・グラビティ』がついに日本公開された。同作は、すでに全世界で約600億円突破の興行成績を収めたスペース・サスペンス・エンターテイメント作品だ。サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーが初共演を果たしたことや、映画製作に携わっているクリイエターでさえ驚く、見事な無重力空間の描き方が話題になっている注目作だ。12日(米国時間)で発表された「第71回ゴールデングローブ賞」のノミネーションにおいても、作品賞やサンドラ・ブロックが主演女優賞にノミネートされるなど、今後さらに注目度があがることは間違いないだろう。今回は、そんな同作でS・ブロックとともに主演を務めたジョージ・クルーニーに話を聞いた。

ジョージ・クルーニー

――プライベートでは、以前から親交があったというサンドラ・ブロックとの初共演した感想をお聞かせ下さい。

サンドラとの共演はとにかく楽しかったよ。とにかく笑いが絶えなかったからね。肉体的にとてもキツかったから、笑いがとても役に立つ現場だった。今までで一番キツいとかではないけれど、、、宇宙服を着ているだけで落ち着かないからね。でも最悪というワケじゃないし、次の撮影を待つ45分間の間、笑いの役にも立ってくれたよ。

これ以上はないと思える最高の共演者だったね。これはサンドラの映画だ。彼女がリードしていかなきゃならない映画なんだ。そんな彼女のサポートができてとても幸せだね。

――本作は映像面においても高い評価を受けています。それを実現させたアルフォンソ・キュアロン監督について教えて下さい。

脚本がとても良くて、監督がとても良ければ、役者はまずその映画に出演したいと思うものさ。本作の脚本には夢中になったよ。しかもそれを執筆したのがアルフォンソ・キュアロンと彼の息子だった。アルフォンソのことは現在の映画化で最も興味深くて、最も才能のある監督のひとりだと思っていたんだ。

――脚本家/監督/プロデューサーとしても活躍しているG・クルーニーさんから見て、監督の映像手法についてはどのようなイメージをお持ちですか?

映画制作を理解していれば、彼の考えも理解できるはずだ。彼の使うレンズの意味もね。大型の広角レンズを使うことで、すべてに焦点が当てられるんだよ。彼は長回しで有名だし、それは今も昔も変わらない。僕もそれを期待してこの映画に参加したんだよ。この映画を観たら、ここで使われた技術と撮影が今まであった映画の意味を変えたことがわかるはずだ。すごいよね。

この作品にはある種の規律が要求される。というのもシーンが事前に決められているからね。それは3Dという以外に、この映画の性質上の問題だ。すべて事前に決めら得ていて、勝手な変更はできないんだよ。6カ月も前から決まっていることを自然に見せることが求められたんだ。それだけにいつもと違うルールがあって、それをアルフォンソとできて楽しかったよ。

地表から60万メートル上空で、誰もが予測しなかった突発事故が発生。スペース・シャトルは大破し、船外でミッション遂行中のメディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)と、ベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)は、宇宙の無重力空間に突如放り出されてしまう。他の乗組員は全員死亡。NASAとの交信も断たれ、残った酸素はあとわずか。果たして地球に無事生還することができるのか……

――この作品の見どころを教えて下さい。

秘訣は話の切り出し方だ。これはさまざまなテーマを描いた、優れた監督と才能ある女優が魅せる大人のための成長譚であると説明して話を始めることが非常に大事だね。そこが話をして楽しい部分なんだよ。自らの死や人生を受け入れようとする映画だ。想像以上に内面的で、宇宙映画のイメージとは一線を画するものだ。その点が気に入っているし、洗練された作品だと思っているよ。

ジョージ・クルーニー
俳優/脚本家/監督/プロデューサーと、様々な立場で映画製作に携わっており、米アカデミー賞では主演男優賞、助演男優賞、監督賞、オリジナル脚本賞、脚色賞、作品賞という、映画史上誰よりも多い部門でノミネートされている。近年では、2012年、『アルゴ』(ベン・アフレック監督・主演)のプロデューサーとしてアカデミー賞の最優秀作品賞を、2011年には、『ファミリー・ツリー』(アレクサンダー・ペイン監督)で米アカデミー賞主演男優賞を、それぞれ獲得している

(C)2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.