考察とまとめ

ということで駆け足ながらKabiniの評価をお届けした。総じていえば、よく改良した優秀なコア、ということになると思う。特にZacateと比較した時にはその優秀さが引き立っているとも言える。ZacateはAPUの第1世代ということもあり、特にMemory Controller周りにはいろいろ粗が目立ったが、そうした部分が綺麗にアップデートされた印象である。

CPUコアは、最適化の方向を変えた雰囲気が明確に伝わってくるが、結果から見ればこの方向性は間違っていないように思う。絶対的な性能、という意味ではそれほど高くないが、これは1.5GHz駆動だからという面もある。同じKabiniでもA6-5400はもう少しきびきびと動きそうである。

GPU側は、GCNベースということで相対的にだいぶ性能は改善されたが、絶対性能ということではまだまだ物足りないのは事実。ただこれは消費電力の枠が厳しいからという面もあるわけで、根本的には20nmあたりに移行しない限り、いまの消費電力枠のまま性能をドラスティックに改善するのは無理だろう。少なくともTablet向けなどには現在でも十分高い性能といえる訳で、それ以上の性能を望む場合はTrinity/Richland系に移行するしかないだろう。

そんなわけでAPUコアそのものにはあまり弱点らしい弱点は無い。こういうもって回ったいい方をするのは、それ以外に弱点があるから。それはAMDの営業力そのものである。

Kabiniを搭載する製品は、現在聞いている限り非常に少ない。それは性能以外の部分で決まるもろもろの事情である。要するに各社、いまは間もなく登場する予定のHaswellに掛かりっきりでKabiniまで手が回らないという、Kabiniにはあんまり関係ない事情である。ただ逆に言えば、それが一段落すれば各社ゆとりができるわけで、そんなわけで長期的な展開に期待したいところだ。