「Photoshopを使った事がない!」

「絵を描くのが得意ではない!」

そんな方でも、大丈夫。この連載では10回に渡って、パソコンとペンタブレットを用いて簡単にオリジナルイラストを制作し、自分だけのグリーティングカードを作るステップを紹介していきます。今回は、「テクスチャ」を用いてイラストを水彩画風に変身させる方法を紹介していきます。

テクスチャに挑戦してみよう

パソコンで描いたイラストは、"ベタ塗り"のままだとどうしてもデジタルな印象になりがちです。そこで、「テクスチャ」を重ねる事でアナログで描いた様な柔らかい雰囲気にしてみましょう。「テクスチャ」とは、物の質感や手触りのことを表す言葉。画像編集においては、ベースの画像の上に重ねて質感を出すための画像素材のことを指します。

こちらのイラストは、水彩画風のテクスチャを乗せた例。パソコンでベタ塗りしたイラストの上から、スキャナーで取り込んだ手描きの水彩画の画像を「オーバーレイ」モードで重ねています。「オーバーレイ」とはレイヤーモードの中のひとつで、ベースのイラストのコントラストを保ちながら、別の画像を重ねて合成ことができる機能です。このイラストのレイヤーの構造は、下記のようになっています。

線画レイヤーと、色のレイヤーの間に水彩のテクスチャレイヤーを挟み込んでいる構造です。この状態でテクスチャレイヤーを「オーバーレイ」モードに設定すると、水彩テクスチャの下にある色レイヤーに質感が投影されるという訳です。今回使用した手描きの水彩画は、画用紙にランダムに水彩をぼかしてアナログで作ったもの。テクスチャとして使った時に程よいムラ感が出るように、黄色・ピンク・赤と、何色かを混ぜて濃淡に幅を持たせています。

ちなみに、レイヤーは「オーバーレイ」以外にも「乗算」や「焼き込み」モードで使用する場合もあります。画像の色合いによってはこちらのモードのほうがくっきりと柄を出すことができる場合があるからです。ただし、「乗算」、「焼き込み」は、上から乗せた画像がベース画像の色と掛け合わさってワントーン暗く見える傾向があり、状況に応じてベースのイラストの色をトーンアップしたり、テクスチャレイヤー自体の濃さを調整しながら使う必要があります。

上記のイラストは、「オーバーレイ」、「焼き込み」、「乗算」の3つの方法で、テクスチャを加えた例です。コルクボード、段ボール、画用紙の写真素材をそれぞれ使用しています。テクスチャの世界は奥が深く、ほかにも「砂」でザラザラとした厚紙の質感を表現したり、「木の幹」の写真を乗せて色にムラを出したりと、活用法は多岐に渡ります。日頃から身近な物の写真・スキャンデータをストックしておくと、意外なところで役立つかもしれません。また、今はフリー素材もネット上で数多く入手できます。

テクスチャを使えば、一枚のイラストを何通りもの質感・雰囲気にアレンジでき、きっとイラスト制作がもっと楽しくなるはずです!

ぜひ試してみて下さい。

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