映像コンテンツメーカーや映像機器メーカーを加盟社に抱えるデジタル・エンターテイメント・グループ・ジャパン(DEGジャパン)は2月15日、「2013 ブルーレイ拡大会議」を開催した。

DEGジャパンは次世代デジタルエンターテイメントの普及団体。ブルーレイ拡大会議は、日本国内におけるブルーレイディスク(BD)市場の成長促進を目的としてDEGジャパン内で組織されているBD部会が中心となって企画するイベントだ。今回で2回目の開催となる。

セルディスク市場は2012年に底を打ち2013年は緩やかに成長

DEGジャパン副会長・BD部会部会長の福田太一氏

DEGジャパン階調の塚越隆行氏による開会挨拶の後、DEGジャパン副会長・BD部会部会長の福田太一氏から「ブルーレイ市場の動向分析と、更なる拡大に向けたアクションプラン」として、2012年の日本国内のBD市場の概況説明がなされた。

福田氏はまずDVD・BDのセルディスク市場について、2008年からの市場動向を紹介した。2008年は2,736億円あったセルディスク市場の売上は、2012年には2,174億円まで減少。対前年比でも5.3%のマイナスとなっており、ダウンロード販売などに押されてパッケージメディアの売上が伸び悩む状況が窺えるが、一方でBDの売上は2008年から右肩上がりで増加。2012年には対前年比で16.6%プラスの686億円まで増加しており、BDパッケージが消費者に浸透しつつあることが示された。

セルディスク市場のBD比率は31.6%。日本以外の各国のセルディスク市場におけるBD比率は、アメリカの26.7%を筆頭に、ドイツ25.6%、フランス20%、イギリス15.1%、オーストラリア14.5%と続く(いずれもDEG調べ)。日本の31.6%はこれらのいずれよりも高い割合となっており、福田氏は「セルディスク市場の規模はアメリカが6,888億円でトップだが、BDの構成比率では日本が世界でトップ」と強調する。

2008年から減少し続けるセルディスク市場

一方で、BD比率は増加し続け、日本は世界でもトップを誇る

世界各国の市場を分析して、福田氏は「市場の成長率とBD構成比は強い相関関係がある」と語る。成長率が高いBD構成比が上がるほどに、セルディスク市場は安定するといい、BD構成比の拡大こそがセルディスク市場に安定をもたらすと強調する。

DVDも含めたセルディスク市場全体でのジャンル別成長率では、日本アニメが前年比5.4%のマイナス、洋画が19%のマイナス、邦画が24.6%のマイナスと、シェアの高い3ジャンルの成長率がマイナスに転じていることが紹介された(日本アニメのシェアが23.2%、洋画が12.3%、邦画が5.1%)。一方で、音楽ビデオは前年比13.7%のプラス成長となっており、ジャンル別シェアでも今や33.4%という巨大市場となっている。

福田氏は、こういった動きを踏まえて「セルディスク市場の売り上げはBD市場の拡大により、2012年にいったん底を打つ」と説明。単価下落でやや縮小するレンタル市場、急速に成長するダウンロード販売などのデジタル配信市場と合わせた映像ソフト市場全体では、2013年には緩やかな成長をみせるのではないかと予測する。

音楽ビデオの成長がセルディスク市場を牽引する

2013年の映像ソフト市場全体では、緩やかな成長を予測

今後のセルディスク市場におけるBD構成比について、福田氏は「当初予定では2013年に見込んでいた50%超えだが、やや遅れている」と述べる一方で、「だが、2014年には50%を超えると見込んでいる」と語り、BD市場の成長に強い自信を覗かせた。

2014年にはセルディスク市場でBD構成比が50%を超えるという

竹中直人と麻倉怜士が語るBDの魅力

竹中直人氏(左)と麻倉怜士氏(右)がBDの魅力を語った

会の最後には、俳優・映画監督の竹中直人氏とAV評論家の麻倉怜士のトークショーを実施。大の映画好きという二人が、BDの魅力を熱く語った。自宅に5.1chサラウンドのホームシアター環境を構築しているという竹中氏は、かつてレーザーディスク(LD)の収集をしていたというが、「部屋の壁一面を埋めていたLDはいったい何だったのかというほどに、今ではBDがどんどん増えてきている」とBDの保持数が増えていることを説明する。一方の麻倉氏も、4Kのプロジェクターを導入してホームシアター環境を構築しているそうで、「4KとBDを組み合わせると、2Kでは見えなかったものも見える」という。BDの保持数については「よく尋ねられるが、自分でも何枚あるか数えられない」と語る。

そんな二人が語るBDの魅力は、やはり第一に画質だ。竹中氏は「VHSテープやLDを集めていた時でさえ、画質はキレイだと思っていたが、BDは別格。もっとスゴイと思った」とやや興奮気味に語った。麻倉氏は「BDの魅力は本物の情報が得られるということにある」と述べる。BDで情報量が増えたことで、「DVDまでのSD画質時代には感じられなかった映像のディティールが確認できるようになった」という。

麻倉氏は「私自身の感覚では、映画は何度も見るものだと思っている」と述べた上で、「1度目はストーリーを楽しみ、2度目、3度目以降は映像から作り手の意図を読み取るような見方を楽しめる」と語る。「その2度目、3度目の楽しみ方が、DVDまでの時代は、映像の情報量が少なすぎてできなかった」と、映画好きならではのBDの楽しみ方を紹介した。

二人は最後に、パッケージメディアの魅力を解説。麻倉氏は「映画は、脚本を読んだりメイキングを見たり、本編以外にも作り手の意図を追体験できる総合芸術」と、自身の映画観を披露した。さらに、事前に用意していた映画「雨に唄えば」のBDリマスター版を見せ、「雨」になぞらえて傘のオマケが付いていることを紹介し、「こういうオマケはファンにとっては嬉しいもの」と語った。

麻倉氏は映画「雨に唄えば」のBD版を持参。オマケに付いている傘を取り出し、パッケージメディアならではの楽しみを強調した

麻倉氏は「これは、物理的に形のあるパッケージメディアだからできること」と強調し、「最近ではダウンロード配信という形もあるが、映画ファンとしてはそれでは寂しい」と、パッケージメディアの意義を述べた。「ブレードランナー」が好きな映画だという竹中氏も、「私も『ブレードランナー』はVHS時代から何本買っているんだというほど持っているが、オマケにミニチュアが付いていたときは嬉しかった」と、麻倉氏同様にパッケージメディアならではの楽しみについて語った。