9月10日、マイナビ社内において「世界一のワークスタイルを構築する~ソフトバンクからのご提案~」と題して、ソフトバンクモバイル 主席エヴァンジェリストである中山五輪男氏によるiPad活用セミナーが行われた。

ソフトバンクモバイル 主席エヴァンジェリスト 中山五輪男氏

同氏は冒頭、「奇抜なインフラを作る必要はありません。大事なのは価値のある情報インフラを作ることです。そして、社内を100%スマートデバイスにすること。これによってSNS等にどんどんアクセスさせ、社内の優秀なブレーンの意見を吸い上げる仕組みを作ることができます」と語った。

また同氏は、社内の意見を吸い上げるツールとして社内SNSとスマートデバイスを合わせて利用することが有効だと説明。

そして、最先端のワークスタイルを実現し、今後生き残って行くために必要なキーワードとしては同氏が挙げたのが「モバイル・クラウド・SNS」の3つで、その好例として紹介されたのが、神奈川県の鶴巻温泉にある旅館「陣屋」だ。

陣屋では、全従業員がiPhoneまたはiPadを持ち、Salesforceを利用して顧客情報を常時共有することでサービスの質を向上させているという。


テーマ別の豊富な事例を紹介

このほかにもテーマごとに多くの事例が紹介された。

iPadをクラウド型営業ツールとして活用して、提案型営業を行っている事例として紹介されたのは、象印マホービンだ。同社では、自社製品のカタログを電子化し、動画や音声を盛り込んだリッチコンテンツとすることでメリハリのある商談を実現。常に用意されている資料が使えることで事前準備等の手間をなくし、動画等を利用した提案により、訴求力のある提案型営業を実践している。

・象印が動画を用いたSaaS型電子カタログで新たな営業スタイル(動画付)


象印マホービンでは、電子カタログとしてソフトバンクの提供する「ホワイトクラウド ビジュアルスマートカタログ」を利用。これは、法人向けに電子出版やマルチメディアコンテンツの制作・配信サービスをクラウド型で提供するサービス。同社では、「動画や音声などを提案書に盛り込むことで、メリハリのある効果的な商談ができるようになりました」とその効果を語っている。

iPadベースのビデオ会議の活用事例として中山氏が紹介したのは、アパレルブランドのファブリカだ。ビデオ会議はソフトバンクの提供する「ホワイトクラウド ビデオカンファレンス」を活用。同ソリューションは、スマートデバイスだけでなくPCや既設のテレビ会議システムも利用可能だという。

・ LACOSTEを展開するファブリカがiPhone/iPadを使い分けたコミュニケーション(動画付)


「据え置きタイプのビデオ会議システムを利用しようとすると、会議ができる部屋を空くのを待つための残業があったりします。iPadから会議に参加できるようにすることで、この問題が解決されます。iPadからアクセスする場合、3Gでも十分に利用可能で、どこからでもビデオ会議に参加できるようになります」と、中山氏はiPadを利用した場合の副次的なメリットを紹介した。

セミナーでは実際に遠隔地に設置されているカメラの映像をiPadから3G回線で表示する様子もデモされた。

3G回線で監視カメラの映像を参照するデモ

そのほか、ペーパーレス会議の事例として紹介されたのは、凸版印刷だ。同社では、毎週ある幹部会議の資料を電子化したことで、年間21.6万枚の紙資源を節約。資料準備の手間も大きく低減され、この作業にかかる人員も減らすことがに成功している。

・凸版印刷が幹部会議にペーパーレス会議システムを導入(動画付)


そして、ソフトバンク自身も、すでにペーパーレス化が進んでいるという。

「ソフトバンクでは社長の孫がペーパーゼロ宣言をして、一切紙資料なしの状況が作られています。社内ではコピー機がどんどん撤去され、一般社員はコピーを取ることもできません。会議資料はずっと前からiPadです。ペーパーレス会議システムの導入は、ぜひお勧めしたい利用方法です」と中山氏は語った。

また、営業マンのリテラシー向上と営業力強化を狙ってiPad導入した事例として紹介されたのは相互印刷工芸だ。同社では、営業担当者と制作スタッフがiPadを持つことで、日々の営業活動や情報共有に活用している。情報共有のために利用しているのは「クリアベイル」だ。

利用方法はそれほどめずらしくないが、端末購入コストを企業と個人が折半しているのが珍しいという。これは、従業員に費用を半額負担させることにより、利用意欲を向上させるのが狙いで、ゲーム等の利用も自由になっており、将来的に自身のレベルを上げていく仕組みだという。

・クラウドを活用した情報共有をiPadで実現、顧客対応を3~4日短縮(動画付)


そして中山氏は、利用制限について、「iPadを導入するなら、自由に使わせるのがいいでしょう。あれをやってはダメ、これはやってはダメと厳しくやっている会社はうまくいっていません。いろいろなアプリを入れてはじめてiPadといえます。成功するためには自由に利用できるルールが必要です」と語った。

また、中山氏は野村證券でコンサルティング営業の強化に活用されている事例も紹介。同社では「Handbook」を利用して資料を電子化したことで持ち運べる資料数が10倍になり、四季報なども持ち歩く必要がなくなり、重量は1/10以下になっているという。

さらに、iPadを使うことで顧客に視覚的なアピールができるようになったことで潜在的なニーズも掘り起こせるようになり、紙コストの削減、資料差し替えの労務費削減も実現。停電中でも株価確認や最新資料閲覧ができることで、BCP対策にも活用できるのもポイントだという。

野村證券でのiPad導入

Google Appsとシンクライアントを活用した「ホワイトワークスタイル」の効果

中山氏がiPadの組み合わせ使うと効果的だと紹介したのは「Google Apps」だ。

「ソフトバンクは国内最大級のユーザーです。月額500円で使えるので、銀行等でも採用例が増えています。これを入れることで情報システム部門は自分たちでサーバのおもりをしなくて済み、メール受信ボックスお25GBもあるため10年分貯められ、一瞬にして検索できます。添付ファイルも25MBまで送れるので動画も送ることができます」と、利用ユーザーとして使用感を語った。

また、シンクライアントにより、iPadでWindows PCを操作して利用する方法についても、「このワークスタイルをソフトバンクではホワイトワークスタイルと呼んでいますが、ソフトバンクはこれによって1日平均50分の時間を創出できています。提案件数と獲得回線数は2倍、営業実績は4.5倍、生産性は4倍と大きく伸びました。導入にあたって相応のコストはかかっていますが、7倍の情報投資リターンが発生しています。以前はソフトバンクといえば深夜まで働いている会社というイメージでしたが、私も今ではすっかり残業が減りました」と中山氏。iPadを活用したワークスタイルの変革がいかに有効であるかを力強く語った。

ソフトバンクにおけるホワイトワークスタイル導入の効果

そして、セミナーの最後では、今すぐビジネスに活用できる機能やアプリとして「音声入力」、「AudioNote」、「TouchRetouch」、「なぞる距離」などのアプリも紹介も行われた。