【レポート】
福岡市では現在、ICTを活用した発信力と国際理解力の育成を目的とした、「福岡キッズ・グローバルメッセージプロジェクト」を福岡市内の赤坂小学校、平尾小学校の2校で試験的に実施している。このプロジェクトにおける「21世紀型スキル」育成について、インテルとパナソニックの2社がノウハウや機材を提供している。
さる7月18日に赤坂小学校で、本プロジェクトによる授業の様子が公開された。
本プロジェクトでは、福岡市の高島宗一郎市長からのミッションという形で、世界に向けて福岡をアピールする2分間「情報番組」の制作を行い、世界へ発信することでICT活用力やコミュニケーション力、コラボレーション力などといった21世紀型スキルの獲得を目指す。
その一環として、今回海外の子ども大使とコミュニケーションを図り、平尾小学校では、福岡や平尾の植物や生物、気候についてハワイの子ども大使に紹介、赤坂小学校では福岡のよさについてプレゼンテーションするなど、両校の生徒がそれぞれが調査・学習した福岡について発表した。
授業を公開した赤坂小学校では、生徒約50名がそれぞれグループに分かれて、韓国から訪れた子ども大使6名に承天寺や太宰府天満宮などの歴史建造物や、もつ鍋、ラーメンなどの食べ物、赤坂小学校で行われている行事について英語で紹介した。
交流が始まる前は、「ちゃんと伝えられるか心配」という声も聞かれたが、実際に授業がはじまると、PCで動画や写真を見せながら堂々と英語で福岡のよさを伝えようとしていた。
福岡について紹介された韓国の子ども大使は、「どのグループの発表が良かったか」、紹介をした生徒は、「誰が話しやすかった」とお互いに評価し合って親睦を深めた。
今回の授業を踏まえて生徒たちは今後、福岡を世界に紹介する情報番組の制作に取り組む予定。この番組作りについて、インテルが提供する教員研修プログラム「Intel Teach」と、パナソニックが実施する「キッド・ウィットネス・ニュース」(kid witness news:KWN)のノウハウを活用するほか、機材や映像製作の講習などを行う。
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インテル取締役副社長 宗像義恵氏 |
「Intel Teach」は、インテルが2000年から取り組んでいる世界規模の教員研修・教員養成支援プログラム。同社が「21世紀型スキル」と定義する「思考・判断力」「問題解決力」「コミュニケーション力」「ICT活用力」「協働力」といった、これからの社会で必要となる能力に向けた指導法やノウハウを提供する。これまでに世界70カ国で、約1,000万人、国内でも約40,000人がプログラムを受講している。
7月9日には、埼玉県や東京大学と共同で、教員向けのスキル育成研修会の開始を発表している(参照記事)。
公開授業の見学にも参加したインテル取締役副社長 宗像義恵氏は、「グローバル社会の中で活躍できるスキルということで、英語でのコミュニケーションをはじめとして、ワークショップ形式の授業で、多くの子どもたちがコラボレーション(協働)して、コミュニケーションをする場が実現されていることに感銘を受けた。こういった機会を通じて、グローバル人材育成に向けた教育システムが日本中に広がっていくことを期待している」と話した。
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パナソニック コーポレートコミュニケーション部門 コーポレートコミュニケーション本部 社会文化グループ グループマネージャーの小川理子氏 |
「キッド・ウィットネス・ニュース」は、1989年にパナソニックがアメリカで開始した教育支援プログラム。当時アメリカでも社会的な課題となり始めた不登校児童に対して、映像製作を通じて、チームワークや表現力、コミュニケーション力の育成を目指して始めたのがきっかけとなっている。現在ではグローバルで展開し、全世界で31カ国、700校以上の学校が参加している。
パナソニック コーポレートコミュニケーション部門 コーポレートコミュニケーション本部 社会文化グループ グループマネージャーの小川理子氏は、「日本でも2003年からKWNが始まり、私自身も審査員を勤めてきたが、日本の子どもたちは、正解を求めてみんなが同じ方向を向いて作品作りをしているような感覚があった。このままではいけないと思っていたところだったが、Intel Teachの教員研修プログラムと組み合わせることで、教育のイノベーションが起こせると思った」と今回のプロジェクトの背景を説明。
「子どもたちがリズムをつけながら、一生懸命英語でコミュニケーションしようとしていた。相手に何とかして自分が思っていることを伝えようとする姿勢に、コミュニケーションの第1歩を感じた。秋には映像製作についてのワークショップがあるが、長い期間を通じて最終的にどういった作品が出てくるのか楽しみ」と話した。
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福岡市教育委員会 教育長 酒井龍彦氏 |
福岡市教育委員会 教育長 酒井龍彦氏は、「福岡市としても21世紀を担う子どもたちの育成にあたり、語学力を含むコミュニケーション能力やICT活用についてもスキルを高めていくことが必要だと考えている。プロジェクトの実施に当たって、子どもたちがどのくらい興味を示してくれるかという不安はあったが、いずれも積極的に関わってくれているのを見て、大変いい方向で進んでいると感じている」とコメント。
「子どもたちに教える教員側に対して、『語学力』『発信力やコミュニケーション能力』『ICT機器を活用する能力』といったスキルの底上げ」という課題も見えてきたが、語学力については、引き続き「Intel Teach」を活用し、ICT機器の活用については、福岡市の教員向け研修施設に、教材やノウハウを集約しそこでスキルの向上を図る考えだ。
今後、「プログラム実施前後の変化」という教員側の視点と、子どもたちのからヒアリングしたエピソードから「気付き」や「変化」をすくい取り、効果や成果を検証し、今後のプログラムの充実や拡大につなげていきたいとしている。
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