埼玉県教育委員会(埼玉県教委)は7月9日、インテルと東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)の協力のもと、児童生徒の21世紀型スキルの育成を目的とした教員研究「21世紀型スキル育成研修会」を開始することを発表した。

同研修会は、児童生徒が自ら考える思考支援型の授業を目指す「Intel Teach」と、児童生徒が互いに学び深め合うCoREFの協調学習の手法を組み合わせて構築されたプログラムを活用するもので、のべ3日間で対面研修とオンラインツールを用いて、児童生徒の21世紀型スキル育成のための授業手法を埼玉県内の小中高等学校に広げることを目的とする。

握手を交わすCoREF副機構長の三宅なほみ氏(左)、埼玉県教育委員会教育長の前島富雄氏(中央)、インテル取締役副社長の宗像義恵氏(右)

実際の研修は、平成24年度から同26年度の3年間の計画で実施される予定で、その後はこの3年間の成果を見て、拡大や修正などを判断していく。平成24年度の対面研修は、埼玉県の県立総合教育センターを会場として、3日間実施され、研修講師はインテルとCoREFから派遣されたスタッフが担当する。対象となる教師科目や年齢などはなく、埼玉県内の教職員であれば応募が可能で、「初任者もいれば、二十数年教師をやっている人も、国語、体育、情報など幅広い担当科目の教師が応募してきている」という。

実際の研修は3日間(1日6時間)で、Intel TeachとCoREFのプログラムを半々ずつ実施される予定

研修プログラムではCoREFが推進している協調学習の手法「ジグソー法」を取り入れることで、受講する教員同士が研修内容を深め合うことが可能となる協調学習の有効性を実感することができる構成になっている。

問いに答える各部品を担当する人それぞれを別々に分けてグループを形成し、それぞれの立場の違う意見を取り入れていくことで理解を深めていく

また、受講教員は、各学校などにおいて、プロジェクト型アプローチを学べるオンラインツール「Intel Teach Element」を活用して研修成果を共有することが可能であり、これにより段階的かつ県内広範に研修内容を展開することが可能になる。

Intel Teachでは、従来の指導者が主導していく形から、児童や生徒が中心となって課題解決に取り組んでいくかに向けた支援が行われており、1999年の開始以来、これまでに世界70カ国、約1000万人の教員が受講しており、国内でも約4万人の教員が受講しているという

受講者は3年間で310名が予定されており、初年度となる今年はその内の70名(小中学校の教師が40名、高校などの教師が30名)が研修として、Intel Teachが掲げるプロジェクト型の運営方法などを学ぶほか、ほかの教師との連携や児童生徒との連携などを学び、それを各学校にてフィードバックすることで、現場で実践的に21世紀型スキルの育成に向けた教育プログラムの活用を目指すこととなる。

なお、実際の授業で、いかに活用していくかに関しては、今回の研修を通じて、教師同士が協調しながら模索していくとのことで、将来的には地域社会への呼びかけも含めて、次代を担う子供たちの思考力やコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、ICT活用能力などの育成を図っていきたいとしている。