COMPUTEXというとやはりPC系の話題が中心。Appleユーザーにとっては間もなく開催となるWWDCのほうが気になるところだろうが、今年のCOMPUTEXにはThunderbolt対応の周辺機器が多数出展されており、Macユーザーにとっても見逃せないところとなっていた。

Thunderboltはご存じのとおり、インテルがアップルと共同開発した新しいインタフェースで、一つの端子でディスプレイと周辺機器を接続が可能といった特徴を持つ。このインタフェースは2011年以降発表のMacに標準で搭載されているが、接続できる周辺機器が少なく、活用機会が少なかったのも事実だ。

それが今年になって、インテルからThunderbolt搭載マザーボードがリリースされたり、UltrabookにThunderboltを採用するといった動きがあり、ようやく普及が本格化しつつある。そんな流れを受け、COMPUTEX前日にはThunderboltの説明会を開催して第2世代のコントローラチップについて解説。そしてCOMPUTEXにも、Thunderboltを使った周辺機器が多数、インテルブースに出展されていた。

インテルブースの、Thunderbolt製品を集めたコーナー

もっとも多かったのは、Thunderboltの高速性を活かした外付けHDDやSSDのインタフェース。バッファローはThunderboltとUSB 3.0というふたつのインタフェースを持つ「HD-PATU3」を展示していた。この製品は日本国内でも発表済み。ただし発売日は未定とのこと。

バッファローの「HD-PATU3

このほかにもストレージやRAIDドライブの出品は非常に多く、Macと接続しての速度計測なども行われていた。その中で気になったのはHighPoint Technologiesの「RocketStar 5212」。ハードディスクのベアドライブを縦に差し込んで入れ替えられるドックタイプの製品だ。またDroboは複数のハードディスクを同時に使用できるポータブルRAIDなどを展示していた。

HighPoint Technologiesの「RocketStar 5212」

DroboのポータブルRAID

MacBook AirやUltrabookのように薄型のノートPCが増えてきたことで今後のトレンドとなりそうなのが、Thunderboltを使ったドッキングステーション。ストレージだけでなくいろいろなインタフェースを兼用できるThunderboltの特性を活かし、Mac/PCとは1本のケーブルで接続するだけで複数の機器を利用できるようになる。ノートPCを自宅で使うときなど、Thunderboltでドッキングステーションと接続するだけで、ディスプレイや外付けの大容量ストレージ、光学ドライブなど使えるというわけだ。

マトロックス「DS1」は米国ですでに正式発表済み

Belkinの「Express Dock」はFirewireやe-SATAまで使える製品だ

SUNIXのドッキングステーションはDVDドライブ搭載、ハードディスクの差し替えも可能。USB×4、Ethernetにディスプレイ出力、カードリーダまで持ったオールインワンタイプ。MacBook Airユーザーなら一つ持っておきたい製品だ

またThunderboltには、その高速性を活かしたプロ用の映像入出力機器インタフェースとしての需要もある。そういったジャンルの製品も見られた。

AJA「io/XT」は複数の映像入出力を1台で行える製品

マトロックスもH.264エンコーダーを内蔵したビデオインターフェイス「MX02 mini」にThunderboltインタフェースを搭載した製品を展示

また、非常に興味深い製品として、Blackmagic Designの「Cinema Camera」が展示されていた。これは4月のNABで発表されたもので、EFマウントとZFマウントのレンズを使用可能でSSDを記録媒体とするカメラ。接続インタフェースとしてThunderboltを搭載しており、同社製品のDaVinci Resolveと連携が可能のようだ。かなり重い鉄の塊だが、デジタルビデオ撮影をワンソリューションで実現できる機器として面白い。

Blackmagic Designの「Cinema Camera」。インタフェース部のいちばん下にあるのがThunderboltだ

Appleのパテント料が高いなどとも言われ、普及が疑問視されていたThunderbolt。ようやく、その浸透の兆しが見えてきたと言えそうだ。